地域の移動手段を守れ! 国交省が「交通空白」解消本部を設置:モビリティサービス(1/3 ページ)
国土交通省はタクシーなどを利用できない状態の解消に取り組む「交通空白」解消本部を設置した。
国土交通省は2024年7月17日、タクシーなどを利用できない状態の解消に取り組む「交通空白」解消本部を設置したと発表した。国土交通大臣が本部長となり、全国の地方運輸局も参加して自治体や交通事業者とともに地域の移動手段を確保していく。
交通空白の解消は、地域と観光の両面で取り組む。地域の足対策としては、全国の自治体でタクシーや乗り合いタクシー、日本版ライドシェア、公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)などを地域住民が利用できる状態を目指す。観光の足対策では、主要駅や空港などでタクシーなどを利用できる状態を目標とする。
人口減少や高齢化が全国的に進む中、免許返納した高齢者をはじめ移動手段の確保に対する不安が広がっている。国土交通省の調査によると、人口5万人未満の市町村では「公共交通が減り自動車が運転できないと生活できない」とする回答が40%、「徒歩圏内にコンビニやスーパー、病院などの施設が少ない」という回答は30%に上った。
乗り合いバスや鉄軌道の減便/廃止、バスやタクシーのドライバー減少により、公共交通の確保は危機的な状況にあると国土交通省はみている。2008〜2023年度で乗り合いバスは合計2万3193km分の路線が、鉄軌道では合計625.1kmの18路線が廃止になった。ドライバー数は、2019〜2021年度に乗り合いバスで11%減、タクシーで15%減の減少だった。
「地域の足」の現状
「交通空白」解消本部では、2024年5月にとりまとめた「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」での議論を踏まえて、交通空白地/地方中心都市/大都市などそれぞれの地域の事情ごとに移動の足の確保に向けた取り組みを推進する。公共ライドシェアや日本版ライドシェアなど地域交通を支える新しいツールを積極的に導入していく。
交通空白地は公共交通事業者だけで移動手段を十分に提供することが困難だとし、地域の輸送資源の総動員や公的関与の強化を図る。市町村やNPO法人などが自家用車を活用して提供する有償の旅客運送が解決策の中心となる。
地方中心都市は、提供されている公共交通と各分野の送迎輸送の重複で需要が分散しており、将来的に公共交通の持続性が課題になるとしている。そのため地域の公共交通の再評価や徹底活用に取り組む。大都市は、内外から多くのビジネス客や旅行者が訪問するため、一部の時間帯やエリアで供給が不足する。そのため、利便性や快適性の優れたサービスを質、量ともに拡充する。地方中心都市や大都市では、タクシー事業者の管理下で地域の自家用車や一般ドライバーを活用した運送サービスがメインの解決策になる。
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