固体潜熱蓄熱材で電源を安定化、多機能の超小型人工衛星「DENDEN-01」の全貌:宇宙開発(3/4 ページ)
関西大学、福井大学、名城大学、アークエッジ・スペースは、4者の共同研究グループで開発を進めてきた1Uサイズ(10×10×10cm)の超小型人工衛星「DENDEN-01」の特徴や開発の意義などについて説明した。
大電力が必要なS帯通信をキューブサットに搭載、小型省電力無線も
DENDEN-01は、電源安定化デバイスとIMM3J太陽電池パネルによって、従来の超小型人工衛星よりも大きな電力を安定的に得ることができる。その大きな電力を活用できることを示す機器となるのが、メインで用いる2GHz帯を用いるS帯通信と、S帯通信のバックアップと地上に設置したセンサーの情報を収集する用途で搭載した920MHz帯の小型省電力無線である。
これら通信機能の開発と運用を担当するのがアークエッジ・スペースだ。S帯通信は、東京電機大学鳩山地上局と、アークエッジ・スペースが2023年度に開設したばかりの牧の原地上局のパラボラアンテナを用いる。また、920MHz帯の小型省電力無線は、S帯通信が利用できないときの衛星へのコマンド/テレメトリー通信のバックアップの他、海や地上に置かれた小型の送信機からのデータを衛星を用いて収集するS&F(Store and Forward)通信として利用する。
DENDEN-01は、福井大学 産学官連携本部 特命准教授の青柳賢英氏が開発したハイパースペクトルカメラを搭載している。独自のリニアバリアブルバンドパスフィルターを組み込むことで、外形寸法3.6×3.6×2.4cm、重量35gという小型化を実現しており、キューブサットであるDENDEN-01への搭載も可能になった。なお、一般的なハイパースペクトルカメラの重量は数kgということで、超小型人工衛星へのハイパースペクトルカメラの搭載も初の事例になるとみられる。
なお、DENDEN-01における大電力を消費する機器としては、S帯通信が3〜5W、ハイパースペクトルカメラが画像処理ボードを含めて約3W、小型省電力無線が1Wなどとなっている。
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