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資源循環で経済価値を生み出す、ホンダが描く持続可能な材料戦略材料技術(2/3 ページ)

ホンダは「自由な移動の喜び」を永続的に提供し続けるために環境負荷ゼロの実現を目指し、リソースサーキュレーションに取り組んでいる。

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大量消費型ビジネスからの転換

 リソースサーキュレーションには5つのポイントがあるという。(1)大量消費型ビジネスからの転換、(2)資源採掘を抑制するためのサステナブルマテリアルを適用した製品設計、(3)先進リサイクルを実現する循環バリューチェーン、(4)サーキュラーエコノミーの効果を見える化する基盤となる情報管理システム、(5)省エネルギーで低CO2排出、低コストなリサイクル技術の5つだ。

 新車販売台数を重視する大量消費型ビジネスからの転換では、ライフサイクルを通じて製品や部品を使い切り、それらを回収して高効率な再資源化につなげる循環を前提としたビジネスを目指す。提供価値を最大化しながら、バージン材や希少資源の使用を最小化する必要がある。また、車両の寿命までユーザーとの接点を維持することも不可欠だ。

 これに関連したホンダの取り組みが、中古車に新品の用品を追加できる認定中古車「いまコレ+」だという。また、部品として使い切りを目指すのがEVに搭載するバッテリーだ。バッテリーモニタリング機能を高度化し、車載用から定置用に転用できるようにするライフタイムマネジメントに取り組む。

資源循環を前提にした設計や材料の選定

 リソースサーキュレーションの実現には、使用済みの車両が“戻ってくる”のを前提にした設計も重要だ。

 自動車リサイクルは現在、フロンガスや油脂類を回収しエアバッグを展開した後、中古部品としてタイヤや足回り、バンパー、エンジンなどを手作業で取り外し、資源としてワイヤーハーネスやモーターを回収する。その後、プレス圧縮してシュレッダーで破砕し、さまざまな選別方法によりアルミニウムや銅、鉄を再資源化する。樹脂やガラス、ゴムなどはシュレッダーダストとして焼却または埋め立てによって処理される。

 破砕した後の選別は、その素材を使う産業が求める不純物純度にコントロールされた上で行われ、ビジネスとして現状は成立している。自動車に水平リサイクルしようとする動きがないため、自動車で求められる純度で選別されていない。リソースサーキュレーションの実現には自動車で水平リサイクルできる水準で不純物の混入を抑えることが重要だ。

 このため、資源循環に向かない材料を減らし、リサイクル材を適用できる設計仕様とすること、分解や解体で単一材料に分離しやすい構造としていくことがカギを握る。これは自動車に水平リサイクルできる資源を安定的に確保することにもつながっていく。

1台に25種類もの樹脂が使われている

 リサイクルされずに廃棄される3割の素材も、分離しづらいことが廃棄の理由の1つとなっている。例えば樹脂は、現在のクルマには1台で180kg、25種類1000グレード以上が使われる。単一材料になるまで細かく分離するのは経済合理性が成り立たず、廃棄するしかない。

 資源循環を進めるには、循環に適した樹脂に置き換えを進める他、単一材料に容易に解体/分離できる構造にしていくことが重要だという。また、バイオ材は材料の置換や解体/分離が難しい部位に適用するのが効果的だとしている。

 資源循環を前提とした材料の選定では、リサイクルとの親和性が低い熱硬化性樹脂を、熱可塑性樹脂に集約することが考えられるという。また、ケミカルリサイクルなど水平循環が可能な材料への置き換えも進める。解体や分離への配慮に関しては、接合や加飾を同種の材料に置換するモノマテリアル化、接着レスで分離しやすい構造とすること、高度な着色技術により塗装レスとすることなどが貢献する。

 バイオ材は、金属との分離が困難な部位、熱可塑性樹脂に置き換えられない熱硬化性樹脂を使用する部位で活用していく考えだ。

 モーターでも、リサイクル材の適用や解体性を考慮した設計とすることで資源循環を促進する。現状では、モーターは解体性が低く、スクラップに多くの不純物が含まれてしまうのがリサイクルを妨げていた。また、パワーユニットごと海外に流出する例もある。そのため、巻き線や電磁鋼板の選別でモーターに使用可能なスクラップ品位を実現することも課題となる。

 これを受けて次世代のモーターでは、リサイクル可能な材料を選定する他、異材混合に配慮した設計にしていく。アルミや鉄の含有を少なくした銅線や銅の含有が少ない電磁鋼板を使用することで高度な分離や解体を支援する。

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