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SDV実現の鍵となる車載イーサネットへの対応はどこまで進んでいるのか人とくるまのテクノロジー展2024レポート(2/3 ページ)

SDV(ソフトウェア定義自動車)の実現の鍵になるとみられているのが車載イーサネットである。本稿では、「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」で半導体メーカーや電子部品メーカーなどが展示した、車載イーサネットを中心とする最新の車載ネットワーク関連ソリューションを紹介する。

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日本テキサス・インスツルメンツ

 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、SDV時代のネットワークアーキテクチャを全面に押し出して、主にセントラルプロセッサ部分を中心に紹介した。

 サラウンドビューやパーキングアシスタントなどの機能を実現するのが「TDA4VM-Q1」プロセッサを搭載したアプリケーション基板である。TDA4VMは、「Arm Cortex-A72」をデュアルコアで搭載する他、ディープラーニング、デプスおよびモーション、ビジョンプロセッシングおよびビデオエンコーダー/デコーダーなどの各アクセラレータを内蔵している。

 「DRA821U-Q1」プロセッサを用いたゲートウェイ基板も展示した。Arm Cortex-A72コア×2と「Arm Cortex-R5F」コア×4の他、4ポートのイーサネットスイッチを内蔵したプロセッサである。

 なお、同社では、帯域幅が10Mbpsの10BASE-T1L、100Mbpsの100BASE-T1、1Gbpsの1000Base-T1を含むさまざまな車載イーサネット規格対応の物理層ICもラインアップしており、トータルでのソリューション提供を訴求していく構えだ。

日本TIは、ゾーンアーキテクチャ全体に取り組んでいる姿勢を明確にしていた
日本TIは、ゾーンアーキテクチャ全体に取り組んでいる姿勢を明確にしていた。具体的には、バッテリー管理、集中型ADAS(先進運転支援システム)コンピューティング、サラウンドビューとパーキングアシスト、集中型ゲートウェイとゾーンゲートウェイなどのソリューションを展示していた[クリックで拡大]
ニーズに応じた高性能な車載プロセッサを持っていることも強み
「TDA4VM-Q1」プロセッサで構成したADASサラウンドビューおよびパーキングアシスト用アプリケーション基板(写真内左側)と、「DRA821U-Q1」プロセッサで構成した集中型ゲートウェイおよびゾーンゲートウェイ基板(右側)。ニーズに応じた高性能な車載プロセッサを持っていることも強みの一つとして訴求する[クリックで拡大]

日本モレックス

 日本モレックスはカートリッジタイプの車載通信用コネクターを出展した。ハウジングに複数のカートリッジ(レセプタクル)を並べて、ニーズに応じて構成できるのが特徴である。ネットワークアーキテクチャや信号極数が決まっていない試作段階での活用を中心に提案する。自動車メーカーやティア1サプライヤーからは「面白いアイデア」といった評価を得ているという。

 カートリッジのうち高速信号用は現在開発中であり、2024年末までの製品化を目指す。

日本モレックスはゾーン(ゾーナル)アーキテクチャを構成する次世代の統合型コネクターを展示
日本モレックスはゾーン(ゾーナル)アーキテクチャを構成する次世代の統合型コネクターを展示していた。およそ3年前からソリューション提供に取り組んできたという[クリックで拡大]
新たに開発したカートリッジタイプの電線対基板コネクター
新たに開発したカートリッジタイプの電線対基板コネクター。0.5mm端子用、0.64mm端子用、1.2mm端子用、2.8mm端子用、車載イーサネットにも対応した高速伝送用(開発中)などの各カートリッジをニーズに応じて組み合わせて構成する[クリックで拡大]

日本航空電子工業

 車載イーサネット用のコネクターも各社ラインアップを拡充している。100BASE-T1対応の「MX74シリーズ」を展示したのが日本航空電子工業(JAE)である。なお、10BASE-T1Sには既存の「MX34シリーズ」で対応していく考えで、現在、伝送特性などを評価中とのことだ。

 車載イーサネット用コネクターは競争が激しくなっており、同社では、品質、耐振動性、耐温度特性などを強みとして訴求していきたい考えだ。

100BASE-T1に対応した「MX74」シリーズ
100BASE-T1に対応した「MX74」シリーズ。基板に実装するピンヘッダは、現時点で2極のストレートタイプおよびライトアングルタイプ、4極のライトアングルタイプをそろえる。ハーネスを接続するソケット側は2極と4極の2種類がある[クリックで拡大]

ミネベアミツミ

 ミネベアミツミは、アンテナで受信した電波やカメラ映像などの伝送に対応した「Mini Coaxialコネクタ」を出展した。同軸ケーブルを対象にしており、USCAR49に準拠している。ビットレートは9Gbpsと高い。既存のHSDコネクターやFAKRAコネクターに比べて、実装面積の小型化が図れる点を訴求する。一部は既に量産中だ。

映像信号やアンテナ信号などの接続に適したMini同軸コネクタシリーズ
映像信号やアンテナ信号などの接続に適したMini同軸コネクタシリーズ。USCAR49に準拠している。データ転送レートは最大9Gbpsである。防水対応品などは開発中だ[クリックで拡大]

 また、車載イーサネットを含む差動信号に対応したコネクターの試作品も展示した。ワイヤハーネスはツイストペアで、ビットレートは10Gbpsである。

開発中の車載イーサネット用コネクター
開発中の車載イーサネット用コネクター。最大10Gbpsに対応した特性を備える。1ポート、2ポートおよび4ポート品を提供予定だ[クリックで拡大]

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