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製造業がソフトウェア開発のCO2算定ルールで注意すべきポイントソフトウェアのグリーン化が製造業に与える影響(3)(1/2 ページ)

本連載ではソフトウェア開発/運用でのCO2排出量見える化と、製造業における取り組みのポイントや算定における留意点を3回にわたり解説する。最終回では、2024年3月末に発表された「ソフトウェアに関するカーボンフットプリントの製品別算定ルール」のポイントを紹介したい。

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 本連載ではソフトウェア開発/運用でのCO2排出量の見える化と、製造業における取り組みのポイントや算定における留意点を3回にわたり解説してきた。連載最終回となる今回は、2024年3月末に発表された「ソフトウェアに関するカーボンフットプリントの製品別算定ルール※1の内容から留意すべきポイントについてご紹介したいと思う。

※1:LCA 日本フォーラム(事務局:産業環境管理協会)「ソフトウェアに関するカーボンフットプリントの製品別算定ルール」より

本ルールの位置付け

 経済産業省公募「令和 5 年度 GX 促進に向けたカーボンフットプリントの製品別算定ルール策定支援事業」は、参画した業界企業の検討を経て、2024年3月29日に製品別のルールが公表された※2

※2:LCA日本フォーラムのWebサイトより

 その中で「ソフトウェアに関するカーボンフットプリントの製品別算定ルール」は、経済産業省の「カーボンフットプリント ガイドライン」に整合した初めての算定ルールの1つとして、今後ソフトウェア製品のグリーンな調達とその公正な競争に資する第一歩となる事が期待されている。

 なお、本ルールの適用範囲は、受託型ソフトウェア開発のうち、Webアプリケーション、プログラムの新規開発を対象としている。

算定報告に必要な記載項目とその留意点

 以下がルールに記載された算定報告に必要な項目となる。全ての内容については解説できないため、一部のみであるが抜粋して説明したい。

記載が必要な項目
(A) 算定単位(宣言単位)
(B) 算定対象
(C) 重要なプロセスの一覧
(D) データの根拠、データ収集に関する情報
(E) 対象とした温室効果ガス(GHG)の一覧
(F) 選択した特性化係数(地球温暖化係数(GWP)など)
(G) カットオフ対象としたもの
(H) 配分の方法(1次データについて配分計算したものであるかどうかを含む)
(I) 使用したデータに関する情報
(1)1次データを取得したプロセスのリスト
(2)2次データベース(DB)を使用したプロセスとそのDB名およびバージョン
(J) 電力の取扱い
(K) 解釈の結果(結論と限界を含む)
(L) 価値に基づく判断をした場合の開示と正当性の説明
(M) 算定単位、算定対象の正当性
(N) ライフサイクルステージの説明
(O) 本ルールで示すシナリオと異なるものを採用した場合に、その内容と最終的な結果に与える影響の評価
(P) カーボンフットプリント(CFP)の算定対象とした期間
(Q) 参照した製品別算定ルール、またはその他の要件

(A)算定単位

 受託型ソフトウェアとして完成したWebアプリケーション、プログラムの提供単位を算定の単位としている。なお、このWebアプリケーション、プログラムの提供単位、すなわち、製品としての構成にはプログラム本体だけでなく、記録メディアや付属品、包装材なども含まれる。

(B)(C)算定対象と重要なプロセスの一覧

 原材料調達段階と生産段階が対象となる。なお、各段階におけるプロセス一覧についてはルール本編(4-3、4-4)に詳しい記載があるので是非参照頂きたい。

(D)データの根拠、データ収集に関する情報

 使用したデータの根拠やデータ収集に関する情報は監査に耐え得る情報を担保するために重要である。なお、データ収集については、「自社所有又は自社の管理下にあるプロセスの活動量については、原則全て一次データを収集しなければならない」と経済産業省の「カーボンフットプリント ガイドライン」の規定にある通り、1次データの収集を基本としている。

 ちなみに1次データとは、実際に取得されたデータとその計算から得られた値である。むろん実際に取得されたデータのみの算定は非常に難易度が高いため、環境省の排出原単位データベースやサステナブル経営推進機構のLCIデータベース「IDEA」などの2次データベースを用いた算定も可能としている。

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