液体をシュッと吹き付ける「スプレーボトル」の仕組み:100円均一でモノの仕組みを考える(1)(2/3 ページ)
本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解、観察して、その仕組みや構造を理解し、製品開発の過程を考察します。連載第1回のお題は「スプレーボトル」です。
スプレーボトルの構成と機構
実際にスプレーボトルを分解してみると、図3のような部品で構成されていることが分かります。このスプレーボトルはどこにでもある100円均一ショップで購入したものですが、非常に多くの部品で構成されていますね。
スプレーボトルは液体を噴出するのが目的のものです。では、どのような機構で液体が噴出されるのでしょうか? その機構を見ていきます。図4はスプレーボトルを簡略化したものです。
レバーを引くことで液体が噴出されるのはご存じかと思います。レバーを引くとシリンダーが押されポンプ部の容積は狭くなり、ポンプ部にたまっている液体は圧力がかかり押し出されようとする力が働きます。
ボトル側には球が押さえ付けられるようにハマりますので液体がボトル側へ流れません。対してノズル側の球は通常はスプリングで押さえ付けられていますが液体の水圧に負けて球が下がりできた隙間から液体が吹き出します。これがスプレーボルトの噴出する仕組みになります(図5)。
レバーを引く力を弱めるとスプリングの力が働きレバーは戻ります。その際、ポンプ部の容積は広くなりますので、他から液体を吸う力が働きます。
ノズル側はスプリングによって球でふさがれてしまい、液体を吸い込むことができません(厳密にはノズル側に液体は無いので吸い込むとしたら気体を吸い込むことになります)。一方でボトル側はポンプ部の吸い込む力により球が浮き液体がポンプ部に流れていきます(図6)。
このように球が逆止弁として液体を逆流するのを防ぎ、常に一定方向へ液体を流す役目を果たしています。スプレーボトルはポンプ部の容積変化によって起こる圧力の変動によって液体の噴出を行います。2つの球と圧力変化の関係性や液漏れしない気密性の保持などが設計要件として求められます。
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