ソルダーレジストの技術開発を加速する研究拠点を埼玉県嵐山町で開設:研究開発の最前線(2/3 ページ)
太陽ホールディングスは、埼玉県嵐山町の嵐山事業所内でソルダーレジストの開発を加速する技術開発センター「InnoValley(イノヴァリー)」を開設した。
ラボエリアの動線に回遊式動線を採用
InnoValleyの1階はエントランスホールの他、開発ラボ、現像室、露光室、物理研磨室、化学研磨室、冷凍室、排水処理機械室などで構成される。
エントランスホールには、複数の木製ルーバーを設け周辺にある武蔵嵐山の自然が織りなす静寂な空間をイメージしている他、内壁の一部は国内外で活躍する左官職人の久住有生氏が手掛けた左官壁でそよ風と小川のせせらぎを表現している。同ホールの天井高さは8mで、壁の2面はガラスウォールで開放的な空間となっている。
同ホール中央の吹き抜けエリアは椅子やモニターを並べることで社内外の関係者が集まるイベントが行える。同ホールの入り口上部には、武蔵嵐山で育った楮(こうぞ)を原料に手漉(てす)き和紙職人の谷野裕子氏が手掛けた小川和紙が展示されておりこの和紙で楮畑を表現している。
1階のラボエリアでは、太陽インキ製造の主力製品であるソルダーレジストや基板周辺材料を形成するための各種装置を導入することで、顧客の半導体製造工程を再現している。ラボエリアの各部屋をつなぐ廊下では、回遊式動線を採用しており各材料室や実験室の行き来をスムーズに行えるように設計されている。回遊式動線の採用に当たっては、開発部門を中心とした社員主導でワークショップを重ねて部門の配置を検討し、作業効率を最大限に配慮した。
2階は、展示スペース「INSPIRATION SPACE」や配合分散室、特性評価室、原料室、環境試験室、分析室、分散スケールアップ室、フィルムコーティング室、合成室、合成スケールアップ室で構成される。
エントランスホールの階段と直結したINSPIRATION SPACEでは、太陽インキ製造の技術や歴史、未来についてデジタルとアナログの技術を織り交ぜて表現している。このスペースは「Historyコーナー」「Futureコーナー」「Technologyコーナー」といった3コーナーから成る。なお、INSPIRATION SPACEという名称には、「訪れる全ての人々にとって、さまざまな発想を生み出すきっかけとなってほしい」という願いが込められている。
Historyコーナーでは、壁面に描かれた年表とイラストで太陽インキ製造が展開する製品の歴史について知ることができる。同コーナーでは、体験型プロジェクションマッピングシステム「タッチウォール」を採用しており、壁面に描かれたイラストに手をかざすとイラストに関連した映像が投映される。
Futureコーナーでは同社が想像する未来の街やテクノロジーの進化、注力テーマについてパネルで紹介している。
Technologyコーナーでは、同社が今まで培ってきた基礎技術や製品を紹介するとともに、ソルダーレジストなど実際の製品を展示している。
配合分散室やフィルムコーティング室などの試作品製造スペースでは、各種製造設備(評価品作成用)を配置し、ソルダーレジストをはじめとした同社製品の試作品処方や製造工程の検討を行える。
これらのラボエリア内で、液状のインキの製造から、フィルム加工まで一貫して行えるように各種設備を設置することで、評価用サンプルの作成をスムーズに進めることができ、製品開発にかかる時間を短縮可能だ。
分析室や特性評価室などの分析/評価エリアでは、顧客のサポートや最先端の技術開発を行うために、微細な分析に対応する機器や、長期間の信頼性評価が可能な各種分析/評価装置を導入している。ガラス張りで仕切りがない分析室は、温湿度などの管理が徹底された空間で、開放感があり開発社員同士の自然なコミュニケーションを促せ、創造的なアイデアの創出が期待される。
1〜2階のラボエリアを活用してサンプルの製造から分析が行える。例えば、2階のサンプル品製造スペースで作成したサンプル材料を、1階の実験スペースで加工し、2階の分析/評価エリアで分析できる。
3階は「SPACE FOR THE FUTURE(未実装エリア)」などから成る。SPACE FOR THE FUTUREはフレキシブルな事業展開に対応する未実装エリアで研究室の拡張や更新に使える。
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