外注先の診断と評価を通して「真のアライアンスパートナー」を発掘する:現場改善を定量化する分析手法とは(7)(2/3 ページ)
工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。第7回は、外注先に焦点を当てます。「外注先の診断と評価」によって良好な関係を維持するだけでなく、互いに発展していける「真のアライアンスパートナー」を発掘できます。
2.2 内外作の決め方
内外作を決定する場合、まず自社でどのようなものを製造すべきかを明らかにしてから決定しますが、その際、表1で示す例のように事前に内外作区分の基準を設定しておくことが重要です。内外作の決定には、主として経営面からの決定と生産計画の余力計画による決定の2つがあります。
(1)経営面からの決定
経営面の決定は、自社の経営方針における特徴や、他の企業に対する優位性がどこにあるかなどによって行います。次に、採算上、社内で生産した方が有利かどうかによって判断します。これらの決定に当たっては、外注先企業が、協業により何らかの部分で相互に利益を獲得できるという姿勢が肝要です。
(2)余力計画による決定
受注量が大幅に変動する場合は、在庫計画と外注化計画によって、操業度の安定化を図ります。生産能力に余力がある場合は外注化を抑制して内作負荷を増やし、余力がなくて不足する場合は外注化によって受注量に対応するのが一般的な方法です。内外作を決める方法は、基本的には各企業が独自のルールを設定する必要がありますが、次に示す表1のように優先順位に従って決めるのも一つの方法です。
順位 | 判定要素 | 社内 | 外注 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 内外作の生産能力 | 保有能力で消化可能 | ○ | ||
負荷が能力を超えている | ○ | ||||
2 | 加工の可否 | 社内でなくてはできない | ○ | ||
社内ではできない | ○ | 外注先の指定 | |||
内外どちらでもできる | ○ | ○ | |||
3 | 品質の安定度 | 安定している | ○ | ||
不安定である | ○ | ||||
4 | 治工具の準備 | 貸し出しまたは支給可能 | ○ | ||
貸し出しまたは支給不可能 | ○ | ||||
不要である | ○ | ||||
5 | 進捗管理体制 | 難しい | ○ | ||
容易である | ○ | ||||
6 | 材料や部品の調達期間 | 長い | ○ | ||
短い | ○ | ||||
7 | 作業工程の類似性 | 強い | ○ | 外注先の指定 | |
弱い | ○ | ||||
8 | 加工費 | 社内と同等か高い | ○ | ||
社内の加工費の60%以下 | ○ | ||||
社内の加工費の3倍以上 | ○ | ||||
社内の加工費と、ほぼ同等 | ○ | ||||
表1 内外作の決定における優先順位基準の例 |
3.外注先の選定
外注先の管理を容易にするための最大のポイントは良い外注先を見つけることであり、そのためには外注先の選定と育成が重要となってきます。外注先は発注企業の経営や生産に大きな影響を与えるため、選定は慎重に行わなければなりません。外注先の選定に当たっては、次の項目に着目して検討を行う必要があります。
(1)技術力
要求する品質を満足させる技術や機械設備を保有しているかという面からの検討です。どのような技術があるのか、そのレベルはどうか、また保有している機械設備の種類、台数、加工能力などは詳細に調査をする必要があります。
(2)経営内容
一般的に、外注先は規模が小さいことは前述の通りですが、経営方針、将来性などに注目する必要があります。また、財務状況として、資本金、資産、借入金、売上高、原価、利益などは長期にわたって比較検討するとともに、資金繰りについては常に注意が必要です。
(3)信用度合い
主要な納入先と納人実績、銀行との取引履歴などから、信用面について評価します。
(4)管理力
工程管理や品質管理などのレベルについての検討です。これは、納期や品質などに大きな影響を与えることになるので十分な調査が必要です。
(5)立地
物理的な距離が遠くなるほど、運搬に要するコストと時間は増大します。外注先との輸送距離、輸送時間、輸送方法などは選定に当たって重要な調査項目です。
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