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外注先の診断と評価を通して「真のアライアンスパートナー」を発掘する現場改善を定量化する分析手法とは(7)(1/3 ページ)

工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。第7回は、外注先に焦点を当てます。「外注先の診断と評価」によって良好な関係を維持するだけでなく、互いに発展していける「真のアライアンスパートナー」を発掘できます。

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 製造業のサプライチェーンにおいてさまざまな定量化を行っていく上で「外注先」も例外とすべきではありません。

 そこで、経営体質や経営品質をはじめとする「外注先の診断と評価」を行うことで、取引先との良好な関係を維持するだけでなく、互いに発展していける「真のアライアンスパートナー」を発掘できます。この「外注先の診断と評価」の具体的な目的としては、外注先との共存共栄、自社リスクの回避、外注先の体質強化支援、原価低減などが挙げられます。

1.生産管理の視点における外注化の必要性

 外注先診断の前に、外注化計画の位置付けや外注先を頼らざるを得ない背景などについて触れておきます。

1.1 期間生産計画の立案

 通常は、経営計画の中日程生産計画の期間に合わせ、生産活動を「期間生産計画」として立案します。この目的は、以下に挙げる点を明らかにすることにあります。併せて、期間生産計画に基づいて、資材購入計画、在庫計画、外注計画、人員計画、機械設備の増設要否、資金計画の要否などの諸計画の立案を行います。

  1. その期間に予定通りの利益を確保するためには、どのような生産活動を実行すべきかを明らかにする
  2. 工場の生産能力を十分に活用するためには、どのような生産活動を実行すべきかを明らかにする
  3. その期間に必要とする材料や部品などの資材の所要量はどのくらい必要であるかを明らかにする
  4. 負荷工数を算出して所要人員の過不足はどの程度であるかを明らかにし、外注化が必要な場合は、外注先の選定を行う
  5. 機械設備や組立装置、付帯設備などについて、補充や更新を必要とするか否かを明らかにする

1.2 外注化の調整

 所有している機械設備の能力や人員では処理しきれない量の生産であるとか、自社の機械設備や技術では生産することが無理な特殊加工については、外部に委託(アウトソーシング:Outsourcing)して、完成品、あるいは半製品を購入する機能を「外注化調整」といいます。このような、外作かまたは内作かの決定は、期間生産計画では、とても重要な意思決定事項でもあります。

 その際に、外注化候補の取引先が自社製品の外注先として十分な機能を備えているか否かの評価の必要性から外注先診断が重要な位置付けとなります。

1.3 外注化計画と管理

 外注化計画を一言で説明すると、期間生産計画に基づいて生産に必要な材料や部品の調達、手配を決定することであるといえます。昨今の産業社会ように分業の進んだ状況では、どのような製品を造る場合でも、一企業で全てをまかなうことができないことから、前述した通り、この外注化計画は生産活動の中では大変重要なことといえます。実際に、ほとんどの企業は外部から原材料などを調達したり作業の一部を外注したりします。

 外注化は、発注企業が製造すべき製品や作業を他社に依頼することですが、外注先管理の点においても、発注側の期待する品質のものを適正な価格で、必要とする期日までに納入してほしいということが第一ですので、外注先の能力と工程の詳細把握が必要となります。

 また、加工の範囲も広く、高い加工精度が要求される傾向にあるため、全てを自社生産することは技術的にも経済的にも大きな制約を受けます。そのため、作業の一部分を外部に依存することが多くなっています。また、一般的には、外注先の方が発注企業に比較して規模が小さく、従属的な立場に置かれていることが多いといえます。

2.外注先利用の考え方

2.1 内外作区分の判定と目的

 内外作区分の判定は、内作(自社での製作)にするか、外作(外注先など社外へ委託して製作)にするかを決定することです。内外作区分の意思決定を合理的に行うためには、さまざまな要素について検討を行う必要がありますが、重要なことは内外作区分の判定基準と判定順序をまずは明確化することです。

 外注先への作業の発注は、加工賃の安さ、業績の好不況に対するリスクの分散などが理由として挙げられますが、その結果として企業のほとんどは外注依存率が非常に高い状況が続いています。

 また、外注先を利用する目的としては、外部の機械設備や技術、労働力を有効に活用して、低コストで品質の良い製品を生産することにあります。外注を利用する目的は企業によってさまざまです。一般的には外注を利用する目的は、専門技術や特別な機械設備の利用、採算性とコストダウン、生産能力の補充、投資の回避、外注先の育成などが挙げられます。

(1)品質の優位性

 内外作を決定する場合には、第一に製品の品質の要求基準を満たすことができるかどうかを確認しなければなりません。品質が確保されて初めて、コストなどの判定基準に移ります。内作と外作とではどちらが品質が優れているか、また品質管理の組織や制度はどうかの比較が重要です。

 原則として、高度な品質や精度が要求される場合は内作とし、自社の品質管理下に置いておくようにします。一方、JISなどで標準化された資材については、一般的には指定の外注先の方が品質が安定していることが多く、品質管理の面からも有利となります。

(2)専門技術や特別な機械設備の利用

 自社にはない専門の技術や特別な機械設備を補うための外注化を指します。特に中小企業においては、全てを自社でまかなうには技術面や採算面で問題があるため、専門外の部分は外注化した方が有利な場合が多く、また実務面においても、特に鋳造、鍛造、メッキ加工、樹脂成形などの専門技術や特別な設備を必要とする作業は、外部に委託することが多くあります。

  • <内作とする場合>
    • 自社の設備や機械でなければ生産できないもの
    • 特許権など、技術関係の機密保持の必要のあるもの
    • 得意先から内作の指定があるもの
  • <外作とする場合>
    • 特別な技術や設備を必要とするもの
    • 得意先から外注先の指定があるもの
    • 外注先が特許権をもっている場合

(3)採算性とコストダウン

 コスト、つまり採算性が問題となります。正確なコスト比較が可能であれば、意思決定は容易となりますが、外注化した場合は、自社の外注担当者の費用、管理費、検査費、運搬費などの外注管理のコストが発生することに留意しなければなりません。なお、内外作を決定するためのコスト比較は、全てのコストを計算する必要はなく、コストの差異のある部分だけを比較すれば十分です。

 一般的に外注先の方が企業規模が小さいことが多く、単位当たりの賃金や労働装備率が低いため、仮に同じ設備で加工したとしても外注化の方がコストダウンになる場合が多くあります。また、それほど高い精度を必要としない部品などを自社内で加工すると生産コストが高くつくことがあります。さらに、外注先の企業が部品の生産や加工の専門企業で、生産量が多く工程が専門化しているなどの場合にもコストダウンとなります。

(4)生産能力の補充

 生産能力が不足した場合に、不足分を補う目的で外注化します。通常、受注状況や需要予測に基づいて生産計画を立案しますが、その際に生産能力と比較して不足する分を外注化します。また、一時的な受注により増産になる場合や、需要予測を大きく上回った生産量の場合などに生産能力が不足することが多くあります。

(5)投資の回避

 生産能力を増強するためには、機械設備の投資や新規雇用による人件費などの負担が大きくなります。生産能力を増強することが可能であっても、巨額の投資が必要で、危険負担が大きくなる場合があります。このため、機械設備の投資は技術や製品製作において重要となる工程に限定し、それ以外は外部に委任して、投資抑制と危険の分散化をはかるという場合も外注化が行われます。

(6)外注先の育成

 特定の外注先の育成強化を図り、協力体制を確立する目的で外注化する場合もあります。外注化を通して経営基盤や技術面を強化し、納期の安定化、管理能力などを向上させる目的で外注化を行う場合もあります。

(7)その他

 その他、労務対策として外注を利用する場合で、機械設備や生産装置などに突発的な事故が生じた場合などが理由として挙げられます。

 また、必要な数量を指定納期までに生産することが可能であるかどうかの納期に関する比較も必要です。内作と外作ではどちらが納期を守れるか、日程変更に対する対応力はあるかといった点の比較が必要です。

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