オートデスクのプラットフォーム戦略とAI活用について日本のキーマンに聞いた:メカ設計インタビュー(2/4 ページ)
近年、オートデスクが展開を強化している「Autodesk プラットフォーム」と「Autodesk AI」の詳細について、日本のキーマンであるオートデスク 日本地域営業統括 技術営業本部 業務執行役員 本部長の加藤久喜氏に話を聞いた。
製造向けインダストリークラウド「Autodesk Fusion」について
――3つのインダストリークラウドのうち、製造向けの「Autodesk Fusion」でどのようなことが実現できるのでしょうか?
加藤氏 製造向けのインダストリークラウドであるFusionは、2023年10月に10周年を迎え、長年親しまれてきたクラウドベースの3D CAD/CAM/CAE/PCB統合ツール「Fusion 360」をリブランディングしたものだ。
われわれは、10年以上にわたってFusionへの投資を行っており、製品開発に必要な機能を拡充させながら、「ジェネレーティブデザイン」に代表されるAI技術を業界に先駆けて取り入れてきたという自負がある。ご存じの通り、Fusionはクラウドネイティブのツールであり、全ての機能をクラウドプラットフォームに統合したオールインワンソリューションとして展開してきた。
Autodesk プラットフォームの戦略が発表されると同時に、Fusionは製造向けインダストリークラウドとして位置付けられ、製品開発に必要な3D CAD/CAM/CAE/PCBや、PLM、MESなどのソフトウェアの提供を通じて、設計から製造までのワークフローの効率化と、関係者間および業務プロセス間のシームレスなコラボレーションを可能にするプラットフォームとして機能することを目指している。
3つのインダストリークラウドの中でも、10年以上の実績があるFusionはユーザーが求めるさまざまな機能を包括的に取りそろえている。今後も生産性向上や業務プロセスの改善に寄与するような新機能なども取り入れていく。2023年11月に開催された「Autodesk University 2023」でアナウンスもあったが、Fusionを通じて利用可能となるAI関連の新機能として、空間内の任意の複数箇所を接続するような形状案を自動で生成してくれる「Automated Modeling」や、設計した3Dモデルを基に図面を自動作成してくれる「Automation Drawing」などが組み込まれる。その他、PLM、MES、離散型シミュレーションのブランド名称の刷新や統合なども行われる。
一方、大規模設計に対応する3D CAD「Autodesk Inventor」(以下、Inventor)のユーザーであっても、Autodesk プラットフォーム(Fusion)と連携した使い方ができる。「Inventor 2024」からFusionとリンクできるボタンが用意されており、Inventorで設計した3DモデルをFusionに持っていき、ジェネレーティブデザインを施して、再度Inventorに戻すといったシームレスな相互連携が可能となっている。また間もなく「Autodesk AutoCAD」(以下、AutoCAD)に関してもFusionと連携できる機能が提供される計画だ。
Fusionの提供については、Fusion単体でのライセンス契約だけでなく、製品設計/製造に必要なツールをセットで提供する「Autodesk Product Design & Manufacturing Collection」を導入することでも利用可能だ。
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