国交省の「新モビリティサービス事業」で九州全域のMaaSなどが認定:モビリティサービス
国土交通省は地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく「新モビリティサービス事業計画」について認定を行った。
国土交通省は2024年3月29日、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(地域交通法)に基づく「新モビリティサービス事業計画」について認定を行ったと発表した。長野県原村と、九州MaaS協議会の2件を認定した。同法に基づく認定は全国で初めてとなる。
地域交通法に基づく新モビリティサービス事業は、情報通信など先端技術を活用して交通機関の利用者の利便性を向上させる事業だ。MaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)などモビリティサービスを提供する。
地域交通法に基づく新モビリティサービス事業計画を作成して国土交通大臣の認定を受けると、(1)共通乗車/乗船券にかかわる運賃や料金の届け出手続きのワンストップ化、(2)地方公共団体に対する新モビリティサービス協議会の組成要請、(3)地方公共団体の交通関係部局や公共交通事業者、モビリティサービスを開発する民間事業者など多様な関係者による協議や連携の促進、などができるようになる。
国土交通省は地域公共交通の「リ・デザイン」の推進に向けて新モビリティサービス事業をはじめとする各地の取り組みを支援していく。
原村と九州での取り組み
長野県原村では、隣接する茅野市で展開されているAI(人工知能)乗合オンデマンド交通のアプリ「のらざあ」を中心に地域の公共交通を再構築し、路線バスとの決済を一括化する。オンデマンドと定時定路線のメリットを組み合わせて、公共交通の効率化や複数自治体のシステム連携によるシームレスで広域の公共交通の構築を図る。
今後は、シェアサイクルなどのサービスや福祉関連分野の輸送に連携の範囲を広げ、複数の交通モード管理を一括化することで、地域住民や観光客の利便性向上を目指す。事業の主体は原村で、2024年4月から順次実施する。
九州MaaS協議会は2024年4月設立予定の団体だ。九州全域を対象に、交通モードや事業者、行政区域などの垣根を超えて2024年夏ごろから広域的な「九州MaaS」を導入する。公共交通が選ばれる環境を創出し、持続可能な地域公共交通の実現や観光も含めた移動の円滑化によって地域経済の活性化を図る。
九州MaaSは「あらゆる垣根を超えたボーダーレス交通の実現」「乗り継ぎ利便性向上のためのダイヤ編成や環境整備などフィジカル面での連携推進」「共創による移動需要創出」「モビリティデータ利活用の推進」を基礎理念とする。2027年度末に60社局以上の参加を目指している。
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