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スケートボードから万能人型ロボットの開発へ「ロボットスケートパーク」を公開ロボット開発クローズアップ(2/3 ページ)

ATR(国際電気通信基礎技術研究所)は、人の脳波や筋電、モーションキャプチャーなどのデータ収集と、ヒューマノイドロボットによる学習実験を並行/連携して実施できる「ロボットスケートパーク」をメディア向けに公開した。

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サイボーグAIのプラットフォームとなるヒューマノイドロボットも開発

サイボーグAIのプラットフォームとなるヒューマノイドロボット
サイボーグAIのプラットフォームとなるヒューマノイドロボット[クリックで拡大]

 ATRでは、サイボーグAIのプラットフォームとなるヒューマノイドロボットの開発も行っている。このヒューマノイドロボットは、身長152cmで体重40kg(スケートボードは含まない)。関節の自由度は総計24で、モーターの最大トルクは89.4Nmとなっている。

 関節の角度を計測するエンコーダー、足首付近に床反力を計測する力覚センサー、視覚センサーとしてステレオカメラを頭部に搭載している。姿勢計測用のIMU(慣性計測装置)はジャイロセンサーと加速度センサーを組み合わせており、IMUと力覚センサーを統合的に活用することでロボットが倒れないような姿勢制御を行っている。

 今回のロボットスケートパークの公開では、ロボットスケートパーク内に設置した急角度の坂であるクオーターランプを備えたスケートボード実験施設を用いてヒューマノイドロボットが走行する様子を見せた。記事の冒頭で紹介した動画がそれだ。

 ヒューマノイドロボットは、坂の上になるクオーターランプの上から滑り降りる際に適切な重心移動をしなければ当然転倒してしまう。また、ただ転倒しないようにするだけでなく、スケートボードの車輪の摩擦による減速が起こりにくいように、状況に合わせて腰部の高さを上下させながら車輪にかかる摩擦力を制御してスケートボードを乗りこなしてみせた。

 人がスケートボードに乗って動く際の腰部の高さの波形をロボットにまねさせ、ロボットはシミュレーター内でどのように動けば人の動きをまねできるのか、また、自分が転倒せずに走行できるのかを学習する。この学習の結果、人と同じような腰部の高さを調節する動きを再現できたとする。

滑り始める前の姿勢クオーターランプを滑り降りたところ 滑り始める前の姿勢(左)。この段階ではロープで保持されている。クオーターランプを滑り降りたところ(右)。膝を深く曲げて腰を落としている[クリックで拡大]
平地では腰の位置がやや高くなっているスロープの上にくると、膝を伸ばし腰の位置を高くする 平地では腰の位置がやや高くなっている(左)。スロープの上にくると、膝を伸ばし腰の位置を高くする(右)。これによって全身のバランスを取っている[クリックで拡大]

 なお、ヒューマノイドロボットは、自身の重心位置などを姿勢計測用のIMUと力覚センサーを駆使して検知し姿勢制御を行っている。このため、押しても引いても倒れないようになっている。

ヒューマノイドロボットは、姿勢計測用IMUと力覚センサーを駆使して姿勢制御しているため押しても引いても倒れない。説明員はATR 脳情報研究所主幹研究員の杉本徳和氏[クリックで再生]

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