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AI活用で2時間以内に自動見積もり、フッ素樹脂加工品のデジタル調達サービスFAニュース

バルカーはフッ素樹脂加工品のデジタル調達サービス「Quick Value」をリリースした。

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 バルカーは2024年3月5日、東京都内およびオンラインで記者会見を開き、同日リリースしたフッ素樹脂加工品のデジタル調達サービス「Quick Value」の概要を説明した。

フッ素樹脂は半導体製造プロセスの必需品 

 Quick Valueでは、フッ素樹脂加工品の図面をアップロードするだけで、原則として2時間以内に見積もりが得られる。AI(人工知能)も活用して図面の加工情報を解析し、統計およびシミュレーションにより設定されたパートナー会社ごとの工場や加工データ(設備、加工種別、加工工数、納期)と組み合わせ、製造の可否判断や見積もりの自動作成を行う。各加工会社は図面ごとに個別の見積もりをすることなく、納期も工程負荷状況に応じた日数が自動で算出される。

 バルカー 取締役副社長でCDO(最高デジタル責任者)の中澤剛太氏は「製造業では見積もりの際、複数社にFaxもしくはメールで見積もりを依頼し、それを受け取った企業は時間をかけて見積もりを返し、受注もしくは失注の連絡を受ける。実際にかかる加工時間などは結果でしか分からないにもかかわらず、多大な工数を見積もりに使っている。そうなれば一定規模のロットでなければ対応できない。そこに課題を持って取り組んだのがQuick Valueだ。今後、人手を介さずに見積もり依頼、見積もり返しをするという潮流は間違いなく来る。その流れをいち早く先取りし、樹脂加工セクターでリーダー的地位を確立する」と話す。

 バルカー 常務執行役員 高機能樹脂・製品本部長の神田大輔氏は「2025年以降には多言語化してグローバル展開したり、他のエンジニアリングプラスチック領域でも事業化したりしていきたい。2026年以降はさらにカスタム品といわれてる製品にも対応できるように開発を進めていきたい」と話す。

図面は2Dと3Dに対応、リング形状は寸法記入のみ

 Quick Valueは3D(STEP形式)および2D(PDF、TIFF、dxf形式)の図面データに対応している。3D、2Dのどちらかだけでも見積もりできるが、両方をアップロードすればより早く得られるという。リング形状であれば図面は必要なく、図示された箇所の寸法を入力し、数量、材質を選ぶだけだ。加工方法はマシニング加工と旋盤加工、溶接加工が利用できる。


3Dおよび2Dの図面に対応しているが両方を推奨している[クリックで拡大]出所:バルカー

リング形状なら寸法を入力する[クリックで拡大]出所:バルカー

 見積もりは価格と納期のバランスが良い「価格優先」と、納期が短い「納期優先」の2通りが提示される。数量に応じた価格割引も表示し、一度見積もりした案件の数量変更時は2分以内に再見積もりが可能だ。


「価格優先」と「納期優先」の2通りの見積もりを表示 出所:バルカー

発注数量に応じて割引した価格も提示される 出所:バルカー

数量変更による再見積もりは1~2分で行う 出所:バルカー

 Quick Valueで自動見積もりができないと判断した形状に対しては、バルカー側で個別に見積もりを行う。図面に不具合があった場合も、そのまま製造するのではなく、見積もり依頼側とコミュニケーションが取れる手段が実装されている。

 Quick Valueの発注先はバルカーとなるが、製造はバルカーが発注したパートナーの加工会社が行う仕組みだ。利用登録、見積もりは無料で、実際の発注まで費用は発生しない。費用はバルカーから月ごとに請求される。


見積もり書のサンプル[クリックで拡大]出所:バルカー

 リリース時点で数十の加工会社がパートナーになっているという。「われわれの基準に基づいた審査制度を設け、クリアしていただいたパートナー企業だけが参画している。フッ素は温度の影響を受けやすく、温度管理などの面で品質基準に対応できるかどうかを監査させていただいている」(バルカー 高機能樹脂・製品本部 調達グループの笠本竜司氏)

 加工用の素材はバルカーが販売するフッ素樹脂製品「バルフロン」のみとなっている。半導体前工程の工場で薬液の貯蔵タンク、薬液搬送のための配管およびバルブ、ポンプ部品、半導体の製造装置内部の薬液が触れる部品、高いクリーン度が求められる部品に使用されている。

 近年は経済安全保障の観点などで、国内外で半導体産業への投資が相次いでいる。「これまでとは異なるレベルの忙しさだ。半導体の製造プロセスでは強酸、強アルカリの薬液を大量に使用する。それに耐えられる樹脂はフッ素樹脂などに限られている。半導体向けは半導体サイクルの中で指数関数的に伸びることもある一方で、フッ素産業は必ずしも半導体向けに設計されたサプライチェーンではなく、供給される原料も潤沢にあるわけではない。われわれのせいで半導体が作れないという状況を作らないために必死に供給している」(神田氏)

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