毎年進化を続ける三菱電機のレーザー加工機、生産性を高める2024年版新機能とは:工作機械(2/2 ページ)
三菱電機はファイバーレーザー加工機「GX-Fシリーズ 2024モデル」の説明会を開催した。
生産性をさらに高める3つの新機能の特色とは?
レーザー加工では、レーザーの照射により生まれる溶融物を除去するために、窒素や酸素などのアシストガスを用いる。酸素切断は加工品質が高く、低コストなどのメリットがあるが、加工速度が遅く、酸化被膜が生じるなどもデメリットがある。一方、窒素切断は加工速度が早く、酸化被膜も発生しないなどのメリットがある一方、生じたバリの処理に手間が掛かり、酸素に比べてランニングコストが高いというデメリットもある。
そこで三菱電機が開発したのが、アシストガスに窒素とエアー混合ガスを用いたAGR-Mixだ。「窒素切断のデメリットをカバーするような技術となる。加工速度は窒素とほぼ同等で、バリの高さも窒素より抑えられ、ランニングコストも大きく下げられる」(横井氏)。同社の比較では、加工速度は酸素切断に比べて早く、レーザーが高出力になるほどその差は拡大した。また、窒素切断時よりもバリの高さは約60%削減したという。
ライトジョイントはワークの取り外しを容易にする技術だ。レーザー加工では、加工後に加工テーブルからワークが落ちるのを防ぐため、母材とワークをつなぐジョイントを残して加工する必要がある。ただ、板厚が厚いとワークの切り離しや切り離した後のジョイントの処理に手間が掛かる。ライトジョイントでは、ジョイント部分の厚みを調整することで、切り離しの作業を大幅に簡素化する。
加工パラメーター編集機能拡張では、オペレーターの熟練度に応じて加工パラメーターの変更権限を付与することで設定ミスを防ぐことができる他、加工条件調整後に元の条件との比較や、元の条件へ復元することが可能になる機能だ。
また、自動シートチェンジシステム「FOTシリーズ」にL型も追加する。FOTシリーズは素材の供給から加工後の搬出までの連続運転を可能にするシステムだが、従来の縦に長いレイアウトでは工場の大きさに合わないケースもあった。そこで、長手方向の設置スペースを短縮したL型を開発し、より工場の形に合わせて導入できるようにした。
その他、新しい大型レーザー加工機や20kWの自社製ファイバーレーザー発振器の展開も予定している。横井氏は「今後も先を見越した要素技術開発を行い、ユーザーの役に立つ機能を毎年発表していきたい。GX-F Ever-next Strategyで開発した機能を他の機種へ展開することも考えている」と述べる。
川田氏は「グローバル全体では米国が伸びているが、世界で一番大きな市場としてわれわれが注力している欧州は厳しい状況が続いている。グローバルで年間で500台の販売を目指していく」と意気込む。
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