落合陽一氏率いるピクシーダストの透明吸音材がCESで受賞、“構造で吸音”を評価:材料技術(1/2 ページ)
ピクシーダストテクノロジーズは、東京都内でメディア向けラウンドテーブルを開き、吸音材「iwasemi(イワセミ)」シリーズの展開について紹介した。
ピクシーダストテクノロジーズは2024年2月14日、東京都内でメディア向けラウンドテーブルを開き、吸音材「iwasemi(イワセミ)」シリーズの展開について紹介した。
音響メタマテリアルの市場規模は2029年は2023年比で5.4倍に
同社は、メディアアーティストとして活躍する落合陽一氏が代表取締役 CEOを務める企業で、独自の波動制御技術とコンピュータサイエンスを組み合わせて開発したメタマテリアル(自然界にはない特性を持つように設計された材料)やパーソナルケア機器を展開している。波動制御技術とは、波動を放射して物体に影響を与えたり、波動を測定して物体に関する情報を取得/分析したりする技術で、波動に干渉して望んだ効果を得る技術も含む。
メタマテリアルとしては、負の屈折率を利用して特性を持たせる「光/電磁波メタマテリアル」や微細なユニット構造を組み合わせて特性を付与する「メカニカルメタマテリアル」、音波長よりも小さい単位構造の周期的構造体により遮音性を搭載する「音響メタマテリアル」の研究開発を進めている。これらの中で同社が市場展開に注力しているのが音響メタマテリアルだ。
音響メタマテリアルは、従来の吸音材/遮音材とは異なり、素材ではなく“構造”で吸音/遮音などの機能を作る技術で、今までの固定概念を覆す特徴と性能を持たせられる他、吸音帯域を柔軟に設計可能なため、特定の音に特化した吸音にも対応する。これらの機能により将来性の高い技術としてさまざまな業界で注目されている。
さらに、国内外の企業では研究段階から社会実装段階にシフトしており、さまざまな企業が音響メタマテリアルを活用した製品を販売している。これらの製品は、透明損失と面密度におけるトレードオフ関係の解消や素材の選択自由度を実現する音響メタマテリアルの利点が評価され、多様な企業のオフィスなどで採用されている。
富士経済の調べによれば、グローバルにおける音響メタマテリアルの市場規模は、2029年に2023年と比較して5.4倍の約1186億円になると予測している。特に建築向けは2023年の市場規模(約219億円)で37.5%を占めると推定されており、音響メタマテリアル市場における最大のマーケットとみられている。
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