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快適性をデザインする 〜快適性を保つエアコンの運転法〜1Dモデリングの勘所(27)(2/4 ページ)

「1Dモデリング」に関する連載。連載第27回は、ひとが感じる快適さを熱的視点で考え、モデル化、評価可能であることを示した前回の内容を踏まえ、快適性を具体的に評価するとともに、快適性のモデリングから分かったことを整理する。

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エアコンのモデリングから分かること

 一方、エアコンは図4に示すように熱の出し入れを行う装置であり、これを制御しているのが図5の「圧縮機」である。

エアコンの原理
図4 エアコンの原理[クリックで拡大]
圧縮機の原理
図5 圧縮機の原理[クリックで拡大]

 連載第21回で導出したように、エアコンの運転を支配する式は以下となる。

式3

 エアコンに求められるのは熱エネルギー量の調整機能である。エアコンの単位時間当たりのエネルギーの流入流出量Qは上記の式から、

式4

となる。Vは圧縮機の容積であり、ここでは10cc=10×10-6m3とする。また、γは通過するガスの比容積、fは圧縮機の回転数(Tは回転周期)、Δhは比エンタルピーである。すなわち、熱量の制御はコンプレッサーの回転数制御に置き換えることができる。

快適性を保つエアコンの運転法

 以上の快適性ならびにエアコンのモデリングの知見から、快適性を保つエアコンの運転法を考える。快適性の評価では、温度、風速、湿度、服装指標、活動指標が入力であった。このうち、温度、風速、湿度は物理センサーにより計測可能である。また、服装指標、活動指標も画像センサーなどにより推定が可能である。従って、ひとに蓄積される熱エネルギーSは現在の技術でリアルタイムでの計測が可能である。すなわち、ひとの快適性をエアコンによって保つには、ひとの蓄熱量Sがゼロになるように、エアコンから熱量Qを付加すればよく、このための運転条件は下記となる。

式5

 実際には、エアコンの供給熱量が全てひとに供給されるわけではないため、Q×TFがひとに供給される熱量としてTFを決める。ここでは、TF=1/50とする。また、エアコンの供給熱量Qは部屋にQroomとして供給されるだけでなく、外壁を通して外部へQoutとして出ていく。ここに、部屋の熱容量をCroom、外壁の熱コンダクタンスをGとすると、快適性を保つエアコンの運転法に関する式は以下となる。また、以上を図で表現すると図6となる。

式6
快適性を保つエアコンの運転法
図6 快適性を保つエアコンの運転法[クリックで拡大]

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