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真夜中に始める伝統工芸品の制作 熱い若手達と産業の未来をつくる富山の職人ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(11)(2/4 ページ)

本連載では、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は、富山県高岡市にある「漆芸吉川」の蒔絵師で、高岡伝統産業青年会 第46代会長の吉川和行さんを取材しました。

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繊細な漆を操り、お客さまに満足してもらうものを作る難しさ

漆芸吉川と伝産会員の名刺
漆芸吉川と伝産会員の名刺[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞

 漆は湿度の高い場所で器に定着する性質があるため、梅雨の湿度の高いシーズンは漆を扱うのがとても難しいです。蒔絵は漆を接着剤のように使って、その上に金属粉などを蒔くことによって漆器に絵柄を出します。そのため、中途半端に工程を進めて次の日を迎えると、今日塗ったところと昨日塗ったところの仕上がりに差が出て、見た目がちぐはぐになってしまいます。ほこりや風も大敵なので、ほこりが立っていない静かなところで作業できるのが理想です。

蒔絵の作業風景
蒔絵の作業風景[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞(提供:高岡伝統産業青年会)

 完成までに何十回も漆を重ねる長い工程があり、一度制作に入ると途中で後戻りはできないため、お客さまとの事前の入念な打ち合わせがとても大切です。「鳥」といったモチーフや「風」などのテーマだけを先にもらって、そこからは任せてもらったほうがスムーズに進むことが多いですが、利用シーンなどに合わせて、できる限りお客さまの要望に沿ったデザインでの制作を心掛けています。


吉川さんの作品。うずらの卵の殻や金粉を使ったモダンなデザインが印象的です[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞

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