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経済インセンティブで攻めるフランスのデジタルヘルス戦略海外医療技術トレンド(102)(1/3 ページ)

本連載第79回でフランスのデジタルヘルス戦略を取り上げたが、同国が2022年上半期のEU理事会議長国を務める2022年5月3日に、「欧州保健データスペース(EHDS)」に関する規則が正式に提案されるなど活発な動きを見せている。

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 本連載第79回でフランスのデジタルヘルス戦略を取り上げたが、同国が2022年上半期の欧州連合(EU)理事会議長国を務める2022年5月3日に、「欧州保健データスペース(EHDS)」に関する規則が正式に提案されるなど(関連情報)、活発な動きを見せている。

⇒連載「海外医療技術トレンド」バックナンバー

ポストコロナ時代のフランスをけん引するデジタルヘルスの展開

 フランス政府が2020年9月3日に発表した「フランス経済再開・復旧計画:2023年のフランスの構築」(関連情報、PDF)に基づくポストコロナ政策の一環として、保健・予防省、経済・財務・復興省、高等教育・研究・イノベーション省、投資総局は、2021年10月18日、「2021〜2025年eヘルス加速戦略」(関連情報、PDF)を発表した。

 図1は、eヘルス加速戦略で示されたフランスの保健医療システムの課題と、それに取組むフランスのeヘルスの位置付けを整理したものである。

図1
図1 「2021〜2025年eヘルス加速戦略」における課題とフランスの位置付け(2021年10月18日)[クリックで拡大] 出所:G_NIUS「eHealth Acceleration Strategy」(2021年10月18日)を基にヘルスケアクラウド研究会作成

 フランス政府は、2022年上半期の欧州連合(EU)理事会議長国任期を念頭に置いて、eヘルス/デジタルヘルスの世界的なリーダーとなることを戦略目標に掲げた。その上で、総額7億3400万ユーロを投入し、以下のような形で、全てのレベルのデジタルヘルスプロジェクトサイクルを支援する方針を打ち出した。

  • 成功するデジタルヘルスプロジェクトの大規模展開のための条件を促進する
  • 現実生活の条件における実験と早期の産業的実証を維持する
  • 戦略的利点を強化するための構造化プロジェクトの構築を促進する
  • 将来の重要なデジタル技術の生成と、研究成果の迅速な移転メカニズムの促進に向けた準備をする
  • ステークホルダーのトレーニング、ステークホルダーの信頼性、セクターの専門性の魅力を構築する

 なおフランスでは、2004年の患者権利法に基づいて、患者のカルテへのアクセス権を拡張し、医療情報の電子化と共有を可能にする、公的システム共有型医療記録の「DMP(Dossier Medical Partage)」を構築/運用してきたが、2022年1月1日より、「Mon espace sante(My health space)」に置き換えられた(図2関連情報)。DMPからMon espace sante へのデータ移行に際しては、オプトアウト方式が採用されている。Mon espace santeアプリケーションは、App Store(関連情報)またはGoogle Play(関連情報)からダウンロード可能である。

図2
図2 フランスの国民健康アプリケーション「Mon espace sante」(2023年12月時点)[クリックで拡大] 出所:French Ministry of Health, the National Health Insurance Fund (CNAM), the eHealth Agency (ANS) and the GIE Sesam-Vitale「Mon espace sante」(2023年12月時点)

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