PFUが不正接続防止ツールに新機能を追加、自動車/医療業界から強い引き合い:製造ITニュース
PFUは、IT機器を検知/遮断/管理する不正接続防止ツール「iNetSec SF」に新機能を搭載すると発表した。USB型LANアダプターなどのシャドーITデバイスの検知に新たに対応するとともに、従来よりも幅広いセキュリティ製品と連携できるようになった。
PFUは2023年12月12日、IT機器を検知/遮断/管理する不正接続防止ツール「iNetSec SF」に新機能を搭載すると発表した。LANポートを搭載しないノートPCなどの有線LAN接続に用いられるUSB型LANアダプターなどのシャドーITデバイスの検知に新たに対応するとともに、従来よりも幅広いセキュリティ製品と連携できるようになった。新機能は2024年3月1日に提供する予定で、iNetSec SFの既存ユーザーはソフトウェアアップデートで利用可能になる。なお、iNetSec SFの価格(税別)は管理ソフトウェアとセンサーハードウェア1台のセットで50万円から。iNetSec SFシリーズの売上高目標は、今後3年間累計で30億円となっている。
iNetSec SFは、ネットワーク接続するIT機器をエージェントレスで可視化し、管理外のIT機器のネットワーク接続を防止するセキュリティアプライアンス製品である。既存のネットワークに後付けで簡単に組み込めることや、新たな利用について申請/承認を自動化できるなど社内のIT機器を手軽に管理できることも特徴となっている。
iNetSec SFは2017年6月の発売からシリーズ累計2万7000台以上を出荷しており、1700社以上で導入されている。国内不正接続防止ツールのシェアでも31%とトップに立っている(富士キメラ総研調べ)。業種別導入件数比率では、製造業の23%に次いで医療福祉が22%となっているが、2022年は自動車/医療業界でセキュリティインシデントが続発したことを受けて、自動車業界は自工会ガイドライン、医療業界は医療情報ガイドラインなどに基づいたセキュリティ対策が進みつつあり、今後も両業界への導入が加速しそうだ。「自動車/医療業界からの引き合いは前年比7割増となっている」(PFU)という。
今回発表した新機能は「シャドーITデバイス検知機能」と「マルチソリューション連携機能」の2つだ。
シャドーITデバイス検知機能では、ノートPCの薄型化により近年利用が急増するUSB型LANアダプターやDockコネクターなど複数人で共有される機器の検知が可能になる。IT機器管理ソリューションの多くがMACアドレスをキーに検知を行っているが、近年はスマートフォンにおけるランダム化MACアドレスの使用に加え、MACアドレスがIT機器本体にひも付かないUSB型LANアダプターやDockコネクターの利用も増えているという。iNetSec SFはランダム化MACアドレスへの対策は完了済みだが、MACアドレスだけでなく複数の要素で機器単体を識別するシャドーITデバイス検知機能により、USB型LANアダプターやDockコネクターなどの“シャドーITデバイス”を漏れなく検知し、管理できるようになった。
マルチソリューション連携機能は、さまざまなベンダーの製品を組み合わせて構築されているネットワークにおいて、それらのネットワーク機器とiNetSec SFを連携した運用を可能にするための機能だ。これまでiNetSec SFが連携可能なネットワーク機器は、パロアルトネットワークス(Palo Alto Networks)、ファイア・アイ(FireEye)、フォーティネット(Fortinet)の3社にとどまっていたが、今回のマルチソリューション連携機能によって、Syslog通知を行うネットワーク機器やソリューションと連携したセキュリティインシデントに対する遮断対処までを自動で実施できるようになった。
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