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スズキと「リン酸鉄系」リチウムイオン電池自動車業界の1週間を振り返る(1/2 ページ)

今週は興味深いニュースがありました。スズキがリチウムイオン電池のメーカーと業務資本提携を結んだ件です。

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 1週間お疲れさまでした。つい先日、11月としての最高気温を更新などと話題になっていましたが、さすがに寒くなってきましたね。雪がちらついた地域もあったようです。これからの季節、運転される方はくれぐれもお気を付けてください。

 さて、今週は興味深いニュースがありました。スズキがリチウムイオン電池のメーカーと業務資本提携を結んだ件です。相手の電池メーカーは、エリーパワーという定置用の蓄電池が主力の会社で、現在の筆頭株主は大和ハウスグループです。

 スズキは2012年にエリーパワーに対して10億円を出資していましたが、今回は100億円の追加出資を行い、スズキが筆頭株主となります(出資比率21.59%)。また、スズキはエリーパワーが発行する転換社債型新株予約権付社債150億円を引き受ける予定です。エリーパワーは調達した資金を設備投資や開発費に充てます。

 エリーパワーの主力は定置用ではありますが、リチウムイオン電池には車載用としても注目に値する2つの特徴があります。1つは銃弾が貫通しても燃えないこと、もう1つはモビリティでの実績があることです。

 銃弾が貫通しても、と言いましたが、実際に銃弾が飛び交う場所に設置することを前提としているわけではなく、リチウムイオン電池の安全性を確認する試験で「クギ刺し」「圧壊」によって短絡(ショート)を起こすのと同じです。銃弾が貫通する際の衝撃や、それに伴う電池内部の構造の破壊があっても、ショートして発熱、発火することがないという性能を示しています。


銃弾が貫通した後のエリーパワーのセル[クリックで拡大]

 安全性を重視しているのは、定置用蓄電池が災害などで壊れて火災などの二次災害の原因になってはいけないという思いがあるからです。安全性のカギを握るのは正極材のリン酸鉄リチウムです。ただ、以前の取材で「リン酸鉄リチウムを使えば燃えないリチウムイオン電池になるわけではない。過充電に対応した熱対策など設計でも安全性を高めている」と聞きました。

 リン酸鉄リチウムは車載用でも注目を集めています。2006年創業ではありますが、リン酸鉄リチウムを使いこなしてきた実績があるエリーパワーにスズキが出資し、筆頭株主になるのは興味深い展開ですね。

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