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Simulation Governance診断の質問リスト公開/診断の最新データから分かることシミュレーションを制する極意 〜Simulation Governanceの集大成〜(4)(1/2 ページ)

連載「シミュレーションを制する極意 〜Simulation Governanceの集大成〜」では、この10年本来の効果を発揮できないまま停滞し続けるCAE活用現場の本質的な改革を目指し、「Simulation Governance」のコンセプトや重要性について説く。連載第4回では、Simulation Governance診断の質問リストを公開するとともに、診断の最新データについて紹介する。

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 ダッソー・システムズの工藤啓治です。今回からいよいよ最新の診断集計結果を分析し、レポートしていきます。その前に、診断結果が集まってきた経緯を簡単に紹介します。2021年5月から11月にかけて、ダッソー・システムズ主催のWebセミナー「DXとしてのシミュレーション活用を考えるシリーズ」(全5回)を実施いたしました。以下がそのテーマとなります。

  • 第1回:シミュレーションはそもそもDigital Transformationである(5月25日)
  • 第2回:森を眺める視点でシミュレーションを活用する(6月29日)
  • 第3回:1D-CAEを活用した想定設計で手戻り削減に貢献する(8月3日)
  • 第4回:要求性能に基づく予測と検証でデザインレビューを変革する(9月21日)
  • 第5回:Simulation Governanceと座談会企画について(11月2日)

 Webセミナーの第5回で「Simulation Governance(シミュレーション・ガバナンス)」について紹介した後、診断と座談会に参加を希望する企業を募ったところ、診断に11社、座談会に8社の参加要望がありました(座談会については本連載の後半に触れる予定です)。2022年に最初の診断結果を共有し、計算工学会での発表や当社でのマーケティング活動を行う中で診断データが増え、2023年10月現在、18社から25サンプルが集まっています。1社の中で複数事業部や複数領域部署からデータを提供いただいている場合があるので、サンプル数が社数よりも多くなっています。統計処理したデータのみが共有され、個別データや社名は参加企業にも開示されません。

Simulation Governance診断の質問リストを公開

 前回「Simulation Governanceの構成要素40項目と実現レベルを診断する仕組み」で紹介したSimulation Governanceを構成する4カテゴリー、9サブカテゴリー、全40項目の質問リストを、ここで初公開します(表1)。回答用シートでは、この質問の項目ごとにLevel1〜5まで記載されているので、自社がどのレベルに相当するかをチェックすることで数値化される仕組みになっています。参加企業内で共有することを前提に、全40項目に対して、課題状況についてコメントを記載していただくことになっており、25サンプルからのこうした生の声は貴重な情報となっています。

カテゴリー サブカテゴリー 項目 ID 内容
文化 経営層 危機意識 A1 経営層は会社/業界としての危機感を持っていると感じますか?
ビジョン A2 会社は10年を超えるビジョンを持っていますか?
デジタルリテラシー A3 経営層のデジタル理解度はどのくらいだと考えますか?
変革リーダーシップ A4 経営層は変革に前向きでリーダーシップがあると思いますか?
組織文化 デジタル成熟度 A5 会社全体でのデジタル化浸透度はどのレベルだと感じますか?
保守文化 vs. 変革文化 A6 社内で改善と変革は明確に定義されていますか?
変革プロジェクト A7 変革的(Digital Transformation)なプロジェクトは既に進行していますか?
活動スピード A8 新しいことに対しての会社の行動スピードはいかがですか?
変革リーダー育成 A9 新しいことを率先して行う現場リーダーが身近にいますか?(自身も含め)
技術 モデルと計算 プログラム利用 B1 CAEソフトをどの程度使いこなしていますか?
モデル化技術 B2 モデル作成技術はどの程度成熟し、標準化されていますか?
精度保証と向上 B3 計算精度を保証するための考え方や仕組みを会社として確立できていますか?
実験との関係 B4 シミュレーションと実験の役割はどのように認識されていますか?
計算時間と計算リソース B5 必要なスループットを確保するための計算機能力は確保されていますか?
ノウハウ活用 モデル標準化と共有化 B6 モデル技術の標準化に関するドキュメント化とシステムでの共有化は行われていますか?
手順標準化 B7 計算手順の標準化はどこまで実現されていますか?
標準化活動の継続 B8 モデル化や手順の標準化活動は継続できていますか?
判断ノウハウの定量化 B9 判断ノウハウは定量化もしくはルール化されていますか?
活用 活用場面 Vプロセスでの位置付け C1 設計開発プロセスで、CAEが活用される最も早い段階はいつでしょうか?
Vプロセスの認識 C2 主だったCAE利用者に、Vプロセスの中での活用効果はどの程度認識されているでしょうか?
活用効果の測定 C3 CAEの活用効果を定量的に把握していますか?
活用効果の定量的成果 C4 シミュレーション活用効果はどの程度出ていると評価していますか?
設計者展開の仕方 C5 設計者が活用するCAEはどの程度成熟していますか?
活用手法(PIDO) 自動化プロセス C6 計算手順の自動化はどこまでされていますか?
実験計画法/設計探索 C7 実験計画法/設計探索はどの程度理解され、活用されていますか?
不確定性手法 C8 不確定性の概念、ロバスト設計や信頼性手法はどの程度理解され、活用されていますか?
代理モデル/AI C9 代理モデル/機械学習/深層学習はどの程度理解され、活用されていますか?
管理の仕組み(SPDM) 解析と実験データ管理 C10 CAE解析のモデルやデータ、実験データをどのように管理していますか?
ワークフローテンプレート C11 CAEを実行する手順を実行可能なワークフローとして利用していますか?
要求管理とシミュレーション連携 C12 設計の要求性能データとシミュレーション結果の比較検討をどのように行っていますか?
プラットフォーム活用 C13 設計情報をつなぐプラットフォームを利用していますか?
体制 組織的対応 利用/応用支援体制 D1 CAEソフトの利用や応用支援体制は十分ですか?
新領域分野開発体制 D2 新領域に対応する場合の体制は十分ですか?
教育〜人材育成 D3 シミュレーションに関する教育と人材育成の体制は十分ですか?
認定資格や外部講習活用 D4 計算技術者認定資格や学会などの外部講習を十分に活用していますか?
ローテーション D5 CAE担当者を設計部署で経験させるなどのローテーションを組織的に行っていますか?
組織活性化 社内情報と事例共有 D6 社内での技術向上活動や事例の共有を行っていますか?
社外発表 D7 社外向け技報や業界紙、学会で積極的に発表していますか?
外部情報収集と学習 D8 セミナー、カンファレンス、学会などからどのように情報収集し、技術向上につなげていますか?
外部組織との連携 D9 シミュレーションに関係し、研究機関やベンダーと共同開発や研究をどの程度行っていますか?
表1 「Simulation Governance」を構成する4カテゴリー、9サブカテゴリー、全40項目の質問リスト 
*)PIDO:Process Integration & Design Optimization
*)SPDM:Simulation Process & Data Management

 質問内容については、CAEに従事している方であればおおむね自然に回答いただけるようシンプルな表現を心掛けていますが、中には抽象的であったり、解釈次第であったり、対象を絞り込む必要があったりと、用語に付加説明が必要な質問内容もありますので、参加を希望される場合は事前にリモートでの説明会を開催して、質問の意図を正しく理解いただくようにしています。

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