誰もが3Dフードプリンタを使える世界に、パーソナルで新鮮な食体験創造を目指すスタートアップ:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(9)(2/5 ページ)
本連載では、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は3Dフードプリンタを用いて新たな食領域を開拓するByte Bitesさんを取材しました。
栄養や味をパーソナライズする
――材料の研究もされているのですね。
若杉さん 一般的な3Dプリンタだと材料カタログを見て材料を買うということがあると思いますが、3Dフードプリンタの場合、材料カタログはありません。素材はスーパーなどで買うことが多いです。
市販のマッシュポテトの粉末に入れる水の配合を少し変えるだけでも表現が変わります。そこに別の粉末や液体を混ぜるとまた変わってきます。自分たちで材料から考えなければいけない苦労はありますが、調整できることで自由に追求できるのでやりやすいことも結構あります。
――水や粉末の配合が難しそうです。
若杉さん 難しいですね。材料、素材に関する数値化ができておらず、何をどのように配合にすれば安定した出力ができるか試行錯誤しています。
――「食」×3Dフードプリンタでどのような可能性があると考えていますか? 現時点でのお考えを教えてください。
若杉さん まだ仮説ではありますが、形によって食感をデザインできるのではないかと考えています。例えばチョコレートなのにふわふわした食感だったら面白いと思いませんか? あと、3Dフードプリンタを活用することで、栄養や味をパーソナライズすることもできると考えています。
大学時代、3Dプリンタを使ってわざと壊れる設計のデザインを作っていました。イメージしにくいかもしれませんが、亀裂が入ったデザインや剥がすことができるデザインです。時を経て起業するとなった際に当時を振り返って考えると、「食べる」ということも一種の破壊行為だなと思ったんです。
――なるほど。確かに、かみ砕いたり飲み込んだりすることも、ある意味破壊といえるかもしれません。
若杉さん そうですよね。だから、大学時代に3Dプリンタでデザインしてきたことを、これからは3Dフードプリンタを使って「食」の分野でもできるのではないかと考えています。
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