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ハノーバーメッセと「ライトハウス」、グローバルトレンドに見る製造業の未来モノづくり現場の未来予想図(1)(2/3 ページ)

本連載では、Schneider Electric(シュナイダーエレクトリック)インダストリー事業部 バイスプレジデントの角田裕也氏が、製造業で起きている大きな変化をグローバルな視点で紹介しながら、製造現場の将来像を考察する。第1回は欧州のスマート工場への取り組みと、近年注目される「ライトハウス」について取り上げる。

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欧州から中国やインドへも波が広がるライトハウス、一方で日本は

 では、なぜ日本ではスマート工場への取り組みに盛り上がりが欠けて見えるのか? その理由の1つに、日本ではスマート工場に関する指標がはっきり見えていないことがあるのかもしれない。

 欧州ではスマート工場の指標の1つとして、世界経済フォーラム(WEF)が認定する「ライトハウス(Lighthouse)」の取得がトレンドとなっている。

 最近では、欧州だけでなく中国からも多くの認定が受けられており、その波がインドにも波及しているような状況だ。

 2022年時点ですでに、全世界132カ所でライトハウスが認定されているが(図2)、シュナイダーエレクトリックでも「アドバンスト ライトハウス」というカテゴリーで5つ、「サステナビリティ ライトハウス」で2つ、さらに今認定中が2つあり、合計9つの工場が認定を受けている(図3)。

全世界で132カ所認定されているライトハウス
図2 全世界で132カ所認定されているライトハウス(2022年時点)[クリックで拡大]出所:世界経済フォーラム
シュナイダーエレクトリックでは合計9つの工場が認定を受けている
図3 シュナイダーエレクトリックでは合計9つの工場が認定を受けている[クリックで拡大]出所:シュナイダーエレクトリック

スマート工場の指標となりモノづくりを進化させるライトハウス

 ライトハウスはインダストリー4.0や第4次産業革命(4IR)で提唱されているテクノロジーを全面的に採用し、生産工場やバリューチェーン、ビジネスモデルを変革することで、財政面、運用面、持続可能性で成果を上げたメーカーの工場を、その変革内容を含めて公表する取り組みだ。

 ライトハウスは直訳すると「灯台=指針」になるわけだが、世界の指針になる工場を認定するというよりは、そういう工場を公表して、よりモノづくりを進化させていこうという考え方の方が強い。

 アドバンスト ライトハウスとサステナビリティ ライトハウスという2つのカテゴリーの違いだが、前者はモノづくりの観点で最新指針となる工場ということが目標になっており、産業や企業のレベルを考慮したイノベーション(運用モデル、製品、サービス、ビジネスモデル)の段階的導入による達成効果が得られているかや、インダストリー4.0や4IRのテクノロジーを使っているかどうかが大きなポイントになる(図4)。

 後者のサスナビリティ ライトハウスでは、前述のアドバンスト ライトハウスの評価項目に加えて、CO2排出量削減をはじめとする環境負荷の軽減、エネルギー消費削減などを具体的に示す必要がある。まずどのような目標を持ち、どんな意思を持ってそれをコミットするか。そして、どれくらいの成果を上げているのか、テクノロジーのユースケースとしてどれくらいの規模感で取り組んでいるのかについても提示しなければならない。

図4 ライトハウスの認定条件
図4 ライトハウスの認定条件[クリックで拡大]出所:シュナイダーエレクトリック

 一方で、日本はどうだろうか。残念ながら、まだライトハウスの認証を積極的に目指す企業が多いとはいえない状況だろう。日本にある認定取得工場は現在まだ3件のみとなっている。課題の1つとして挙げられるのが、基本的に日本企業はボトムアップ型の改善が多いと思われることだ。

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