セコム8年ぶりの新型ドローンが掲げる“XX”の意義:ドローン(1/2 ページ)
セコムが、2代目となるセキュリティドローン「セコムドローンXX」を発表。画像AIを活用して巡回を行う機能を備える他、2015年12月発表の初代モデルから大幅な性能向上と機能拡張を図っている。
セコムは2023年10月12日、浦安ヘリポート(千葉県浦安市)において、2代目となるセキュリティドローン「セコムドローンXX(ダブルエックス)」を発表した。画像AI(人工知能)を活用して巡回を行う機能を備える他、2015年12月発表の初代モデルから大幅な性能向上と機能拡張を図っている。2024年春の発売予定で、初年度で20〜30件の導入を目標としている。販売形式はレンタルを想定しており、月額での価格は人間の警備員を1人雇うのと同程度となる数十万〜100万円超を見込む。
会見に登壇した同社 常務執行役員 企画開発担当の上田理氏は「当社は2023年5月に発表した『Rpad Map 2027』において警備業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を宣言している。最新技術を活用したセキュリティシステムによって、セコムの事業のためだけではなく、地域や社会全体、ひいては日本のために、安全、安心の品質向上をけん引して行く方針である。今回発表するセコムドローンXXは、防犯や警備にとどまらず、さまざまな用途(X)において変革(X:Transformation)を起こしていく決意を込めて名付けた」と語る。
実際に、初年度の導入目標のほとんどは防犯、警備向けとなることを想定しているものの、公共施設の点検や河川の見回り、災害時の安全確保といった用途での提案活動を並行して進めていくことにより、長期視点でセコムドローンXXとしての“XX”を実現していきたい考えだ。
飛行時間2倍、最高水平速度3.6倍、飛行可能距離7倍に
初代のセコムドローンから8年ぶりの新モデルとなるセコムドローンXXは、大幅な性能向上と機能拡張が図られている。
飛行性能は、飛行時間が初代モデル比で2倍の最大20分、最高水平速度が同3.6倍の時速36km、飛行可能距離が同7倍の最大12km程度、耐風性能が同2倍の平均風速毎秒10mなど、ほとんどの項目で倍増以上に向上している。通信機能についても、初代モデルが映像はWi-Fi、制御に特定小電力無線を用いていたのに対し、セコムドローンXXはLTE通信により映像と制御の両方をカバーしている。
また、格納庫となるドローンポートもバッテリー交換機能を追加した。初代モデルではドローンが格納庫に戻ってからバッテリーの再充電が完了するのに1時間〜1時間半を要しており連続運用ができなかったが、セコムドローンXXは格納庫に戻ってから2〜3分でバッテリーを交換して再度飛行できるようになった。セコムドローンXXの飛行時間は最大20分でバッテリーの充電時間が約40分なので、予備のバッテリーが3セットあれば24時間連続運用も可能だ。
機能面では、敷地内に侵入した不審者や不審車両を検知する画像AIが新たに追加された。セコムドローンXXに搭載している可視と赤外の2種類のカメラ+LED照明と組み合わせることで、昼夜の別なく24時間365日、監視に適した映像を取得して画像AIを適用する24時間対応画像AIとなっている。なお、画像AIについては、気象天候、ドローン高度、姿形などさまざまな条件で撮影した6万枚以上の画像データを用いて学習を行っているという。
画像AIによって検知した不審者や不審車両は、オペレーターがターゲットに指定することにより追跡を行える。追跡を行う際には、オペレーターの表示画面内の中央にターゲットがくるようにドローンの制御を行うとともに、セコムグループで地理空間情報サービス事業を担パスコが提供する3次元立体地図を参照しながら斜面や建物が並んでいる複雑な地形に対応しながら追跡を継続できる。オプションで搭載できる圧電スピーカー式の音声拡声装置を用いて、不審者への警告となる定型音声やオペレーターからの通話音声などを出力することも可能だ。
セコムドローンXXの一般的な運用は巡回監視になるが、監視カメラや外周センサーなどと連動してドローンを発進、急行させて不審者を追跡させるといった運用も可能だ。
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