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SiCへのルチル構造二酸化ゲルマニウム製膜に成功:研究開発の最前線
立命館大学とPatentixは、PhantomSVD法を用いて、ルチル構造二酸化ゲルマニウムをSiC上に製膜することに成功した。酸化物半導体パワーデバイス開発の課題となる、基板の低熱伝導率の解決に向けて前進した。
立命館大学は2023年9月20日、同大学発のベンチャー企業Patentixと共同で、PhantomSVD(ファントム局所的気相成長)法を用いて、次世代半導体材料のルチル構造二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)を炭化ケイ素(SiC)上に製膜することに成功したと発表した。
Patentix独自製法のPhantomSVD法は、霧状にした溶液を使用する化学気相成長(CVD)法とは違った原理で結晶成長ができ、より安全性の高い薄膜合成が可能だ。安全かつ安価な原料を活用するため、費用対効果も高い。
左:Si(111)/3C-SiC(111)上に成長したルチル構造r-GeO2の写真。左端の未成長部は膜厚測定のためにマスキングした跡。右:Si(111)基板上に製膜した<111>配向 3C-SiC 薄膜の上にr-GeO2の製膜を行った[クリックで拡大] 出所:立命館大学
r-GeO2は、SiCや窒化ガリウム(GaN)に比べてバンドギャップが大きい。そのため、r-GeO2を使用したトランジスタやダイオードは、高耐圧、高出力、高効率(低損失)というパワーデバイス特性を備える可能性がある。
一方で、酸化物半導体パワーデバイスの開発では、基板の熱伝導率が低いという課題があった。今回、放熱性に優れたSiCを利用することで、この課題解決の可能性が示された。今後は、r-GeO2薄膜の電気特性評価や膜中の欠陥評価などを実施し、品質の高いr-GeO2エピ製膜技術の開発を進めていく。
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