回復基調続く新車生産、中国は販売低迷で各社2桁パーセント減:自動車メーカー生産動向(2/3 ページ)
2023年7月の自動車生産は、半導体の供給改善などにより全体としては回復基調が続いているものの、中国での販売低迷が大きく足を引っ張る格好となった。
スズキ
ホンダ、日産自動車を上回り、トヨタに次ぐ2番手につけたのがスズキだ。7月のグローバル生産は、前年同月比0.8%増の29万4504台と2カ月ぶりにプラスへ転じた。世界生産の3分の2を占めるインドは、同1.0%増と2カ月ぶりに増加。単月のインド生産として過去最高を記録した。ただ、パキスタンなどが減少し、海外生産合計は同0.3%減の21万2264台と2カ月連続のマイナスだった。
国内生産は、前年同月比3.9%増の8万2240台と5カ月連続で増加した。輸出は同7.1%減と落ち込んだものの、国内市場向けが伸長した。8月の新車販売台数でも、「スペーシア」が同29.9%増、「ハスラー」が同53.6%増と主力モデルがそろって大幅に増加した。
ホンダ
8社の中で最も厳しい結果となったのが、ホンダだ。7月のグローバル生産台数は、前年同月比19.2%減の27万8755台と2カ月連続のマイナスだった。グローバル生産が2桁パーセント減だったのはホンダのみ。スズキに次ぐ3位だが、4位の日産との差は7250台と小差だった。
要因は最大市場の中国で、前年がロックダウンから挽回生産を実施したこともあり、前年同月比57.2%減と半減し、2カ月連続のマイナス。アジアトータルでも同47.9%減と2カ月連続で減少した。一方、北米は旺盛な需要に加えて半導体の供給改善により、同60.0%増と7カ月連続のプラス。北米生産の5社で最も高い伸びを示した。それでも、中国の減産が響き、海外生産は同22.5%減の21万9783台と、2カ月連続のマイナスとなった。
国内生産も伸び悩み、前年同月比4.2%減の5万8972台と2カ月連続で前年実績を下回った。8月の国内販売では、量販車種の「N-BOX」はフルモデルチェンジを控えながらも同51.1%増と好調を維持している一方で、「フリード」「フィット」「ステップワゴン」といった登録車の主力モデルが2桁パーセント減と低迷している。なお、納期は着実に改善しており、N-BOXや「N-WGN」は1カ月、フィットのHEVで3カ月程度となっている。1年以上要するのはステップワゴンのガソリン車と、新型車「ZR-V」のHEVのみとしている。
日産自動車
日産自動車の7月のグローバル生産は、前年同月比4.7%減の27万1505台と6カ月ぶりにマイナスへ転じた。ホンダ同様に中国が同41.4%減と低迷し、足を引っ張る格好となった。なお、この台数は小型商用車(LCV)を手掛ける東風汽車(DFAC)の株式売却に合わせLCVを除いて前年比を比較しており、日産の中国事業として前年実績にLCVを含むと同46.3%減となる。
一方、北米は好調で、米国は前年同月比20.3%増と4カ月連続のプラス、メキシコに至っては同103.2%増と倍増し、8カ月連続で増加した。英国も同26.2%増と好調が続いているものの、中国の落ち込みにより海外生産トータルでは、同10.8%減の20万7710台と2カ月連続で前年実績を下回った。
国内生産は回復基調が続いている。前年同月比22.6%増の6万3795台と15カ月連続のプラス。「エクストレイル」や「セレナ」といった国内市場向け新型車が好調な他、輸出も同43.3%増と増加。ただ、コロナ禍前の2019年7月との比較では15.8%減にとどまった。
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