災害支援ロボットは“ダミヤン”を救えるのか!?――レスコン2023レポート:ロボットイベントレポート(1/3 ページ)
2023年8月11〜12日に神戸サンボーホールで開催された「レスキューロボットコンテスト2023」の概要と結果をお届けする。コンテスト参加チームの災害支援ロボットは要救助者ロボット“ダミヤン”を救えるのか!?
2023年8月11〜12日に神戸サンボーホール(神戸市中央区)で「レスキューロボットコンテスト2023」が開催された。本稿では、リニューアルされたレスキューロボットコンテスト(以下、レスコン)の概要と今回の結果をお届けする。
レスキューロボットコンテストとは
レスコンは、災害発生時において被災者の発見/救助やガレキ除去を支援するロボット技術を競う競技会だ。災害現場では、危険な状況や困難な環境下で救助活動を行わなければならないことが多い。その救助活動を支援できるようなロボット技術の開発とその実証に加え、コンテストで競うことによって技術を向上させることを目的としている。
1995年に発生した阪神・淡路大震災を契機にレスコンがスタートした背景や主催者の思いは、11年前にMONOistで掲載したレポート記事「inrevium杯 第12回レスキューロボットコンテスト:ロボットを遠隔操作し、優しく・素早く・安全に救助せよ!! ――14チームがレスキュー活動に挑戦」で詳しく紹介している。ぜひご一読いただきたい。
リニューアルされた実験フィールド
2022年から、レスコンの実験フィールドがリニューアルされ、課題も一新された。競技の状況設定は、以下の通りだ。
“「国際レスキュー工学研究所」※1)では、レスキュー技術の評価と訓練のために、コンテスト形式で実験が行われている。研究所内には、大地震で半倒壊となったビルや施設内部を模擬した実験フィールドが構築されている。
被災した建物内で取り残された人を探して一刻もはやく助け出さなければならない。ところが大規模停電が発生し視界が悪く、地震再発や二次災害の危険があるため、レスキュー隊員は現場に入ることができない。そこで、出動要請を受けたレスキューロボット隊が救出に向かう……。”
※1)架空の研究所
以前は、6分の1スケールの市街地を模したフィールドだったが、新フィールドは4分の1スケールのビルや施設内部を模擬したものになっている。これは、ロボットや要救助者役の人形(公式愛称:ダミヤン)のサイズを、よりリアルなスケールに近づけるための変更だ。
実験フィールドには、左右それぞれに3つのルームがある。
一番手前の広いエリアはルームAと呼ばれている。ガレキや家具があるものの、ロボットが動きやすいエリアだ。
ルームAの奥には、天井や壁に囲まれた閉鎖空間のルームBがある。ロボットは旋回やアームの動作に制約が発生し、ミッションクリアの難易度が高い。
階段を上ったところにあるのがルームCだ。まずは、階段を登れる機構がなければ、ルームCに到達できない。ダミヤンを救助した後、なるべく振動を与えずに搬送するという難しさもある。
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