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2025年、“シン・無人運航船”出現船も「CASE」(3/4 ページ)

日本財団は無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の第2ステージ事業に関する説明会を実施した。日本財団が中心となって2020年6月から2022年3月にかけて進めてきた無人運航船開発プロジェクト第1ステージの成果を受けて、2022年10月から第2ステージに着手している。

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「残り2〜3%での実現が非常に難しい」

 MEGURI2040コンソーシアム プロジェクトディレクターの桑原悟氏は、MEGURI2040プロジェクトの具体的な内容について説明した。桑原氏は第1ステージでも日本郵船、MTI、日本海洋科学が中心となったDFFAS Projectコンソーシアムのディレクターを務めていた。第1ステージに続いて第2ステージでもディレクターとして携わる。


MEGURI2040コンソーシアムプロジェクトディレクターの桑原悟氏[クリックで拡大]

 桑原氏は、第1ステージにおける実証実験において航海の98%で無人運航が達成できた一方で、残り2〜3%が非常に難しいという。「残り2〜3%だから間もなく無人運航船が実現できる、と思うかもしれない。エベレストを登るときの最後のアタックみたいなもので、その数パーセントが非常に難しく技術的課題を残している」(桑原氏)。桑原氏は、今回のプロジェクト目標である無人運航船の社会実装を目指すに当たって必要な要素が2つあるという。「1つが技術開発、そして、もう1つが環境整備だ」(桑原氏)


プロジェクトの目標は技術開発のみならず、無人運航船を社会が受け入れられるルール整備や社会的理解を得るための啓発活動まで含まれる[クリックで拡大] 出所:日本財団

 技術開発では、第1ステージで構築したシステム構成をベースにそれぞれの要素で正確性をより高めてステージ2の実証実験を成功させることを目指す。さらに、開発する技術を規格化することで、海事関連技術で求められる国際基準を目指す競争においても日本がリードすることを目指すとしている。


コンソーシアム体制。全体会議に付随する「PMO」(Project Management Office:事務方幹事)で日本海洋科学とMTI、三菱総研が務める。「RA Group」(リスクアセスメントグループ)は開発各段階でリスク評価を実施して開発の手戻りを削減する役割を果たす[クリックで拡大] 出所:日本財団

 併せて桑原氏は、このような無人運航船を社会的に受け入れるために必要な環境整備として、運航に関連した法律などのルール整備の他、無人運航船の運航に携わる人材の育成や教育方法の確立、無人運航船の開発や実証実験に用いる特区の設置、規制サンドボックス実現に向けた検討を挙げた。そして、ビジネスとして導入する動機となる無人運航船の価値の創造や、無人運航船の存在そのものを受け入れることができる社会的な理解の促進なども必要だと訴えた。

 これらの技術開発と環境整備の面から必要とされている項目を整理して、桑原氏は第2ステージにおける目標を「実証実験(の実施と成功)」「開発した技術の規格化」「開発プロセス基盤の強化」「社会実装のための環境整備」といった4項目を掲げている。

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