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純金純銀のジュエリーを1つずつ手作り、大量生産が難しい素材をあえて使う理由ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(7)(2/5 ページ)

本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回はジュエリーブランド「four seven nine」を取り上げます。

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純銀、純金にこだわったジュエリー

 SV999とは銀含有率99.9%以上の純銀と呼ばれるシルバー製品で、高純度のため、他の金属に比べて肌に優しく、「アレルギーが起きにくい」といわれています。(参照元:「four seven nine」の刻印、「SV999」が意味するもの

 一般的にシルバー製のジュエリーはSV925を使用しているものが多く、鋳型を使った鋳造で生産されているケースが大半です。SV925は一般的なシルバージュエリーの素材で、スターリングシルバーとも呼ばれる銀含有率92.5%以上のシルバー製品です。残りの7.5%には合金として銅が使用されることが一般的で、これが金属アレルギーの一因となってしまうことが多くあります。four seven nineは純度の高いSV999とK24を使い、1つ1つ手作りで制作しています。


SV999の刻印[クリックして拡大] 出所:four seven nine

 SV925に合金が入っているのは、独特の光沢や色味に加え、強度を増すためでもあります。four seven nineのジュエリーのほとんどは手作業で素材をたたき込んで作られているため、やわらかい純銀でもジュエリーとして十分な強度が生まれます。また、熱伝導性が高い銀の性質が生かされており、体温になじみやすい特徴を持っています。

 どうして純銀、純金にこだわって全て手作業でジュエリーを制作されているのか? ジェンダーレスでタイムレス、ボーダーレスなデザインにはどういった意図があるのか? 詳しいお話を伺ってきました。

アトリエで活躍する道具たち

 アトリエで制作時に活躍する道具を幾つか見せていただきました。そのうちの2つをご紹介します。1つ目は、線引盤と呼ばれる、金属の太さを変えるときに使うものです。銀をあたためて、大きい穴から小さい穴に順に通していくと、銀の太さを変えることができます。


線引盤。30年ほど前に表参道の彫金材料屋で購入されたそうです[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞

 2つ目は金床です。熱を加えたあと形を変えやすくなった銀をこの金床の上で打ち込みます。金属をたたくとき、金床や金づちに傷があるとジュエリーに同じ模様がついてしまうので、定期的に表面を磨かないといけないんだそうです。


金床。木台に差し込んで打ち込みの際に使う[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞

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