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インタビュー

住友ゴムのMIはレシピ共有でスタート、今はタイヤのライフサイクル全体を対象にマテリアルズインフォマティクス最前線(2)(4/5 ページ)

本連載ではさまざまなメーカーが注力するマテリアルズインフォマティクスや最新の取り組みを採り上げる。第2回では住友ゴムの取り組みを紹介する。

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WAVEBASEが実現した全データ解析

MONOist WAVEBASEの活用についても教えてください。

岸本氏 SPring-8やJ-PARCなど、先端研究施設を活用した材料開発を行っていたが、計測技術の進化や装置の高度化によって、短時間で大量のデータの取得が可能となる中、重要な情報になり得る材料中のわずかな変化に至るまでのデータも余すことなく解析することが求められるようになっていた。

 しかし、対応は難しかった。一例を挙げると、ゴムを変形させながら連続して画像データを取得しても、人手やソフトウェアの限界により一部の実験データしか解析できなかった。ただ、全ての画像を解析したらタイヤの性能を高めるための新しい知見が得られるかもしれないと期待していた。


計測技術の高度化とビッグデータ化に伴う課題[クリックして拡大] 出所:住友ゴム工業

 一方、同時期にトヨタ自動車では、自動車材料の開発で培ってきたデータ処理技術を応用した材料解析サービスの展開を検討していた。

 そこで、当社は、MIによる解析力の向上と、研究開発のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的とし、2020年6月よりトヨタ自動車と共同でWAVEBASEの実証実験を開始した。ゴム材料開発に重要な先端研究施設から得られるデータの解析プロセスを効率化することで、解析時間を100分の1以下に短縮することに成功した。


「WAVEBASE」がもたらす革新的な解析環境[クリックして拡大] 出所:住友ゴム工業

 加えて、ゴムを変形させながら連続して取得した画像データにWAVEBASEを活用することで、いままで着目していなかったポイントにゴム材料改良のヒントがありそうなことが分かった。これまで物差しとしてゴムの計測データはあったが、その物差しをどう使えばよいか判断できなかった。WAVEBASEによりその使い方が見えてきた。

 現在は、住友ゴム工業は実験が得意でトヨタ自動車がデータサイエンスが得意なことを考慮し、互いの持ち味を生かせるようにWAVEBASEの改良について議論している。

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