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PFUが工場の「ネットワーク見える化装置」を機能強化、より“やさしく”製造業IoT

PFUは、工場におけるネットワーク接続機器の見える化やネットワークの状態把握を簡単に行える装置「iNetSec FC」の機能強化版の提供を開始する。ネットワークの見える化を、より“やさしく”行えるようにしたことが最大の特徴となる。

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 PFUは2023年7月27日、工場におけるネットワーク接続機器の見える化やネットワークの状態把握を簡単に行える装置「iNetSec FC」の機能強化版の提供を開始すると発表した。ネットワークの見える化を、より“やさしく”行えるようにしたことが最大の特徴となる。2022年3月の出荷開始から既に数十社で採用されており、今回の機能強化を契機に医療機関や自治体などにも展開を広げていくことで、発売から3年間の累計売上高目標10億円の達成を目指す。

PFUの「iNetSec FC」
PFUの「iNetSec FC」。機能強化版の提供を開始する[クリックで拡大] 出所:PFU

 今回の機能強化のポイントは3つある。1つ目は、iNetSec FCによって見える化したネットワークにつながっている機器の設置場所を管理する上で課題となっていた、機器を探す時間の大幅な削減である。

 iNetSec FCは、ネットワークに接続するだけで自動で機器とネットワークの構成を見える化し、レイアウトが変更されても常に最新状態を把握ができる。ただし、工場などの現場では各機器の設置場所の管理が属人化しており、担当者でなければ現状を把握できず、トラブルがあった時の機器の特定ができないことが課題になっていた。今回の機能強化では、各機器の「写真登録」が可能となり、外観情報だけでなく、設置している場所の柱番号/棚番号、棚卸しのために貼付されているシール情報など複数の写真データを保存して機器の情報とひも付けられるので、設置場所を誰でもすぐに特定できるようになった。

「機器の設置場所の管理」で機器を探す時間を大幅に削減
「機器の設置場所の管理」で機器を探す時間を大幅に削減[クリックで拡大] 出所:PFU

 2つ目は、ネットワーク構成の過去と現在の差を確認するためのスナップショット保存機能の追加だ。iNetSec FCは、ネットワーク構成を分かりやすく見える化できるものの、これまでは現時点でのネットワーク構成しか見える化できていなかった。しかし、ネットワークトラブルはネットワークの増設や機器の付け替えといった構成変更が原因になっていることが多い。そこで、ネットワーク構成をスナップショットで随時保存できるようにして、迅速なトラブル原因の切り分けに役立てられるようにした。なお、スナップショットの保存は定期的に行うことも可能だ。

ネットワーク構成の「過去と現在の差を確認」でダウンタイムを短縮
ネットワーク構成の「過去と現在の差を確認」でダウンタイムを短縮[クリックで拡大] 出所:PFU

 3つ目は、基幹となる重要なネットワークについても分かりやすく見える化できるようになったことだ。もともと工場の生産現場向けに開発されたiNetSec FCだが、これまでの事業展開で医療機関や自治体の引き合いも増えてきている。医療機関や自治体のネットワークは、工場とは異なり基幹ネットワークも含まれるため、BCP(事業継続計画)対策のためにスタック構成やリンクアグリゲーションも採用されている。そこで今回の機能強化では、スタック構成を示すアイコンやリンクアグリゲーションを示す二重線を用いることで、さまざまなIT環境でもネットワーク構成を見える化しやすくした。

基幹となる重要なネットワークで利用される環境も見える化
基幹となる重要なネットワークで利用される環境も見える化[クリックで拡大] 出所:PFU

 なお、これらの機能強化はこれまでに販売したiNetSec FCでもソフトウェアアップデートによって利用できるようになる。価格(税別)についても、保守やサポートを含めた1年間利用ライセンスバンドルが付いて48万円、2年目以降の1年間利用ライセンスが36万円に変更はない。

リコーグループの販売力も活用

 iNetSec FCは、PFUの石川工場(石川県かほく市)で起きたネットワークトラブルの経験を糧に、同社の25年間のネットワーク製品の技術やノウハウを生かして開発した製品である。このこともあって“ネットワークトラブルで工場の生産を止めない”ことを最大の特徴としてきた。

 実際に、数十社の採用企業のうち90%は工場であり、電子機器、化学、制御機器、農機、製薬など幅広い産業分野で高い評価を得ている。経済産業省が2022年11月に発表した「工場セキュリティガイドライン」に対応する上で、同ガイドラインのステップ1で示されているネットワークゾーンの把握で役立つことも高評価の要因となっている。

 さらに、厚生労働省が策定している「医療情報システムのガイドライン」でも現状把握が順守事項として追加され、医療機関からもiNetSec FCのネットワーク見える化の機能に注目が集まっていた。今回の機能強化版は、ネットワーク見える化をより“やさしく”行えるようにして、工場にとどまらないさまざまな業種での活用を見据えたものとなっている。

「iNetSec FC」は工場だけでなく、医療機関や自治体での採用も広がりつつある
「iNetSec FC」は工場だけでなく、医療機関や自治体での採用も広がりつつある[クリックで拡大] 出所:PFU

 また、今回の機能強化は、PFUが2022年9月からリコーの子会社となったことで、リコージャパンなどの販売力をiNetSec FCの拡販に生かす狙いもある。工場向けにとどまらず、医療機関や自治体などを意識してより“やさしく”ネットワークの見える化が可能になったことで、さまざまな業種に浸透するリコーグループとの相乗効果が期待できるとしている。

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