連載
エアコンのモデリング(その2) 〜冷媒に着目してエアコンをモデリングする〜:1Dモデリングの勘所(21)(3/6 ページ)
「1Dモデリング」に関する連載。連載第21回は、エアコンのモデリングに取り組む。まずはエアコンの仕組みと運転方法を確認し、熱サイクルを具体的な冷媒を参照して数値化。さらに圧縮機と熱交換機の原理に触れ、エアコンのモデリングについて説明し、計算例を示す。最後にヒートポンプ式給湯器を紹介する。
エアコンのモデリング
今まで対象としてきた機器の定式化とは異なり、エアコンは熱サイクルを対象とするため、式で簡便に表現することが難しい。そこで、エアコンの設計手順を想定し、この各プロセスを式で表現することによって、エアコンのモデリングとする。エアコンの設計手順に関しては、既に触れたがここではより具体的に考えることにする。
- 冷暖房能力を決める
- 冷媒を決める
- 設計圧力を決める
- 冷媒質量流量を決める
- 圧縮機の仕様を決める
- 膨張弁の仕様を決める
- 熱交換機の仕様を決める
- 冷媒の必要質量を決める
上記手順に従って、各項目の式表現を試みる。
1.冷暖房能力を決める
エアコンでは、所定の時間(できるだけ短時間)で部屋の温度が所定の温度になることが求められる。今、部屋の各辺(縦、横、高さ)をa、b、cとすると、対象となる体積Vrは、
となる。ここで、時間d[min]で部屋の空気を一巡させるために必要な風量frは、
となる。これからエアコンに求められる冷暖房能力Aaは、
となる。ρは空気の密度[kg/m3]、cpは空気の比熱[J/kg・K]、ΔTは変化させたい温度差[K]である。
2.冷媒を決める
冷媒は、表1で物性値を示したR410Aとする。
3.設計圧力を決める
表1の物性値で、低圧側温度を0℃、高圧側温度を40℃とすると、圧力は次式となる。
4.冷媒質量流量を決める
冷暖房に必要な比エンタルピーをΔh[J/kg]、必要な冷媒質量流量をG[kg/s]とすると、
となる。冷暖房能力Aaは既知なので、この式より冷媒質量流量が求まる。
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