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バーチャルツインが日本の製造業、新時代のモノづくりを加速する3DEXPERIENCE Conference Japan 2023(2/3 ページ)

ダッソー・システムズの年次カンファレンス「3DEXPERIENCE Conference Japan 2023」では「バーチャルツインが実現する日本のDX」をテーマに、「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を活用したビジネス変革の事例やDXの取り組みなどを紹介した。本稿では、基調講演の模様をダイジェストでお届けする。

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バーチャルツインが実現する新時代のサステナブルなモノづくり

 ゴドブ氏の講演に続き、アクセンチュア サステナビリティ&イノベーション戦略マネージャーのリ-ブレニー・ソフィー氏とダッソー・システムズ サステナビリティ日本担当兼コンサルティング戦略本部長の由利直美氏が「バーチャルツインが実現する新時代のサステナブルなものづくり」と題して対談を行った。ここでは両名の言葉で印象的だったものを中心に紹介していく。

アクセンチュア サステナビリティ&イノベーション戦略マネージャーのリ-ブレニー・ソフィー氏
アクセンチュア サステナビリティ&イノベーション戦略マネージャーのリ-ブレニー・ソフィー氏[クリックで拡大]

 企業がサステナビリティに関する取り組みを推進する際の考え方として、ソフィー氏は「AIに代表されるような『テクノロジーだけが答えである』と決め付けないことも重要だ。テクノロジーによっては多くのエネルギーを使用するものもあるからだ。そのため、エネルギー消費の観点でソリューションやテクノロジーを見極めなければならない」と指摘する。また、同氏はCO2排出量の削減の話題に触れた際、「テクノロジーを活用することでできることはたくさんある。だが、その前に何が問題であるのかをきちんと知っておく必要がある」と訴える。

 さらに、日本企業によるサステナビリティの取り組みについて、ソフィー氏は「日本政府も徐々にサステナビリティの方向へシフトしている。だが、多くの日本企業の状況を見てみると、10年前の欧州企業と変わらないレベル(欧州企業と比べて10年遅れている状況)にある。サステナビリティはコストがかかるだけという認識もあるようだ。これに対し、海外ではサステナビリティが価値をもたらし、人材を引き付け、コストやリスクを軽減するという考え方が根付いており、実際にそのことを証明する国際的な企業も増えている」と述べている。

 日本企業がサステナブルなモノづくりを実現していく上で課題となっている点は何かという問い掛けに対し、ソフィー氏は「日本企業にはESG(環境、社会、ガバナンス)に関する専門家が足りていない。正しい知識を持った人材がいてはじめて企業の高い志と計画を、実践のステージへと移すことができる。また、ESGに関連するデータの取り扱いも手動で行われているケースが多く見られ、時間のムダやミスのリスクを生み出している」と指摘する。

 では、どうすれば日本企業はサステナブルなモノづくりを実践できるのか。そのヒントとして、ソフィー氏は「最も重要なことは小さく始めることだ。2030年までに、2050年までにといった長期的な目標をいきなり立てるのではなく、まずは1年後、3年後にどうしたいのかという短期的な目標に取り組むべきだ。それが決まれば、KPIを検討して実践にシフトできる」と説明する。また、サステナビリティの活動は企業単独(1社)でできることが限られるため、「サプライチェーン全体で協力し合うことも非常に重要だ」とソフィー氏は述べている。

ダッソー・システムズ サステナビリティ日本担当兼コンサルティング戦略本部長の由利直美氏
ダッソー・システムズ サステナビリティ日本担当兼コンサルティング戦略本部長の由利直美氏[クリックで拡大]

 一方、ダッソー・システムズの由利氏は、同社の3DEXPERIENCEプラットフォームを中核とするバーチャルツインの技術がサステナブルなモノづくりと非常に親和性が高いことに触れ、「現在、ライフサイクルアセスメント(LCA)のプロセスをプラットフォームに取り込み、各産業別に必要となる新たなプロセスを想定したソリューション開発をグローバルで図っているところだ。われわれ自身、サステナブルというテーマは終わりのない活動だと認識しており、将来に向けて新たに必要とされるものを開発し続けている」と説明。また、由利氏は「設計開発フェーズでの決定が製品の環境負荷の80%に影響するといわれている。つまり、サステナビリティの評価は開発の初期段階から着手するべきだ」と述べ、バーチャルツインによるモノづくりの必要性をアピールする。

 日本では、サステナビリティの実現に向けた活動に賛同する企業は多いが、そのほとんどが実行に移せていないという現状がある。その件について、由利氏は「日本企業が抱える問題点として、調整事が多く取り組みのスピードが遅いこと、1社だけでは取り組みに限界があるということが挙げられる。そして、事業成長との同時実現が求められる点も実行スピードを遅くしている原因となっている。サステナビリティの取り組みが収益にどのように結び付くのかの見通しがつかず、投資判断や人材配置などに至っていない」と指摘する。他にも、日本企業の研究開発/設計/製造の現場に紙ベースのプロセスが多く残されている点、データ化されていてもプロセスが分断されており、データの継続性や一貫性が保たれていない点、次世代型の環境配慮製品を開発するためのスキルやノウハウ、人材が不足している点などを日本企業の課題として挙げた。

日本企業が抱える課題
日本企業が抱える課題[クリックで拡大] 出所:ダッソー・システムズ

 以上のような課題を抱える日本企業に対し、ダッソー・システムズができることは何か。由利氏は「業務プロセスをつなげ、全てのデータの継続性と一貫性を担保するとともに、バーチャルツインの強みを生かしてイノベーション創出を支援する。さらに、サステナビリティの専門家を含むあらゆる関係者を巻き込んだコラボレーション基盤を提供することで、新しいモノづくりの実現をサポートしていく」と述べ、3DEXPERIENCEプラットフォームがサステナブルなモノづくりの実現に対して有益な存在である点を強調した。

ダッソー・システムズができること
ダッソー・システムズができること[クリックで拡大] 出所:ダッソー・システムズ

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