「時間」を創出できる機械部品調達サービス「meviy」の進化を支える3つの鍵:メカ設計ニュース(1/2 ページ)
ミスミグループ本社は「meviyのこれまでの歩みと進化の鍵」をテーマに記者説明会を開催。同社 常務執行役員 兼 ID企業体 企業体社長の吉田光伸氏をはじめとする4人のキーマンが、機械部品調達サービス「meviy」の強みやこだわり、価値提供を加速する仕掛けやAI活用などについて紹介した。
ミスミグループ本社は2023年6月2日、「meviyのこれまでの歩みと進化の鍵」をテーマに記者説明会を開催し、同社 常務執行役員 兼 ID企業体 企業体社長の吉田光伸氏をはじめとする4人のキーマンが、機械部品調達サービス「meviy」の強みやこだわり、価値提供を加速する仕掛けやAI(人工知能)活用などについて紹介した。
左からmeviy Lab ジェネラルマネージャーの芝田篤史氏、DTダイナミクス 代表取締役社長の道廣隆志氏、ミスミグループ本社 常務執行役員 兼 ID企業体 企業体社長の吉田光伸氏、ミスミグループ本社 meviy事業部 事業部長の柳沢将人氏[クリックで拡大] 出所:ミスミグループ本社
meviyのこれまでの歩みと進化の鍵
冒頭、吉田氏は「meviyの提供を開始して以来、製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)をけん引するサービスとして産業界から高い評価を得ており、さまざまな賞などを獲得してきた。そして、2023年1月には日本製造業の最高峰の賞である『第9回 ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞』を受賞した」と、製造業におけるmeviyの存在感の大きさをあらためて強調した。
さらに、人口減少や働き方改革が加速し、労働生産性向上が強く求められる今、吉田氏は「紙図面による業務が中心で、設計や製造、販売と比べてデジタル化が進んでいない調達領域がボトルネックだ」と述べ、作図の手間、見積もりの手間、待ち時間によるロスの大きさを指摘するとともに、調達領域での時間的なロスに対して「われわれにできる価値創造は、時間の創出である」(吉田氏)との考えを示す。
meviyの提供価値は、AI自動見積もり、製造プログラムの自動生成、自社工場でのデジタルモノづくりによって、3Dデータをアップロードするだけで、即時見積もり、最短1日出荷という圧倒的なスピードで機械部品調達を支援し、顧客時間価値を提供することにある。「部品点数1500点の設備の部品調達を例に挙げると、通常、調達のための2D図面作図、見積もり、製造でトータル1000時間ほどかかる。これに対し、meviyであれば約80時間で部品調達が可能となる。ここで生み出された約900時間を人間にしかできない、より創造的な仕事に役立ててもらいたい」(吉田氏)。
そして、「meviyが提供するのは部品ではなく時間だ」と表現することもあるほど、meviyは徹底した顧客時間価値の向上を目指し、本格展開を開始した2019年以降、機能強化やサービス拡大、グローバル展開などを数多く進めてきたという。その結果、2022年度実績で10万ユーザー、1200万アップロードを突破し、国内オンライン機械部品調達サービスでトップシェア(テクノ・システム・リサーチ調べ)を誇るまでに成長。グローバル展開においては、日本、欧州、米国に加え、2023年度中に中国、アジアでの展開もスタートさせ、「世界5極での労働生産性改革をもたらし、日本発グローバルNo.1のプラットフォームを目指す」(吉田氏)という。
さらに、持続的な産業の実現に向けて、meviyがもたらす「紙の2D図面の削減」「時間創出」「AIによる最適化提案」が、カーボンニュートラルや人手不足の解消、技術継承の課題解決に役立つとし、「meviyの活用によって、事業成長と社会貢献を同時に実現することができる」と吉田氏は説明する。
顧客時間価値へのこだわり
続いて、同社 meviy事業部 事業部長の柳沢将人氏が「進化の鍵『顧客時間価値へのこだわり』」と題し、顧客時間価値を最大化するための3つのアクションについて紹介した。
その3つのアクションとは、加工種、形状、サイズ、材質を追加してmeviyで手配可能な部品を増やす「商品の進化」、従来1部品ずつでしかできなかった3Dデータのアップロードを一括でアップロード可能にするなどの「UX(ユーザー体験)の進化」、そして、納期や価格選択肢を追加するなどの「サービスの進化」だ。
meviyの開発において、こうした進化の方向性を決定付けているのが、商談や問い合わせ時に挙がってきた「顧客の声(VOC:Voice Of Customer)」と、アップロードされた膨大な「顧客データに基づく需要把握」であり、柳沢氏は「meviyの開発では、顧客の声とデータに基づく開発を徹底し、常に『顧客時間創出の大きさ』を判断の軸に据えている」と説明する。
VOC起点での開発により、meviyはこれまでさまざまな加工種の対応や機能強化など商品の進化に努めてきたという。説明会ではこれまでの商品の進化の歩みとともに、2023年中にリリース予定の「溶接部品」対応にも触れ、「これまで2D図面を介した打ち合わせが必須で手間のかかっていた溶接部品の手配を、3Dデータのみで行えるようにした。こうしたサービスはグローバルでもmeviyだけだ」(柳沢氏)という。
さらに、meviyのサービスの進化として、納期選択肢の拡大や大口数量帯の価格改定などに取り組んできた他、トヨタ自動車やヤマザキマザックとの共同開発に代表されるオープンイノベーションの取り組みにも注力している点を強調した。
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