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半導体関連事業へ「飛び抜けて過去最大規模」の投資、京セラが初の中期経営計画製造マネジメントニュース(2/3 ページ)

京セラは、同社としては初となる3カ年の中期経営計画を発表。3年間で前3カ年の2倍近くとなる1兆2000億円の設備投資および研究開発投資を行い、その内約半分を半導体関連事業に割り当てる方針を示した。

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先進技術力とKAVXの販路で成長狙う電子部品領域

 電子部品領域では、独自技術の確立とその技術を生かし差別化ができる領域に集中することで市場シェア拡大を推進する。京セラではタンタルコンデンサーや水晶部品(タイミングデバイス)、積層セラミックコンデンサー、コネクターなどの電子部品を展開しているが「IC高集積化に貢献する小型化や高精度化に貢献する技術力が特徴だ。産業機械から車載、医療、航空宇宙まで幅広い販路を持つ点も強みとなっている。既に高シェアを握っているタンタルコンデンサーやタイミングデバイスでシェアを維持するとともに、伸ばす余地のある積層セラミックコンデンサーやコネクターでシェア向上を目指す」と谷本氏は方向性について語っている。

 電子部品領域の成長のカギを握るのが、2020年に完全子会社として一体経営となったKYOCERA AVX(KAVX)である。KYOCERA AVXの持つグローバルな販売網や有力顧客との強固な関係性を生かし、京セラの持つ幅広い電子部品の販売拡大につなげる。製造面では、京セラの持つ省人化や効率化を追求した生産技術をKYOCERA AVXの生産拠点に導入することで生産性向上を進める。これらにより、2025年度には売上高5000億円、営業利益率20%の達成を目指す。

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電子部品領域の事業戦略[クリックで拡大] 出所:京セラ

 電子部品領域においても、グローバル生産体制の構築に向けた新工場の建設と、デジタル技術を採用した効率的なモノづくり体制の構築を推進する。新たにタイに新工場を立ち上げた他、鹿児島県の国分工場に新棟を建設し、最先端の省人化、自動化技術を取り入れる方針だ。さらにエルサルバドル工場では積層セラミックコンデンサーとタンタルコンデンサーの生産増強を図る。

 電子部品に関する競争環境は厳しくなっているが「スマートフォン端末では成熟が進んでいるが、自動車向けではADASなども含め従来電子部品が使われていなかった領域で多く使われるようになっており、今後しばらくは自動車領域が電子部品の販売をけん引するのは間違いない」と谷本氏は市場の見通しを述べる。その中で、京セラでは小型化や高精度化についての特徴を積極的に打ち出す方針だ。「例えば、水晶部品では小型化と高精度化が求められているが、いち早く半導体などで使用するフォトリソグラフィーを適用し高精度化に対応した。さらにそれ以上の小型化を求められるとシリコンMEMS振動子などで対応することが求めれられるが、ここはフィンランド発のベンチャー企業であったTikitin Oyを買収して技術を取り込んでいる。技術力で差別化ができる」と谷本氏は強みを訴えている。

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電子部品領域の投資戦略[クリックで拡大] 出所:京セラ

コミュニケーション事業やエネルギー事業で構造改革を推進

 機械工具事業、ドキュメントソリューション事業、コミュニケーション事業、エネルギー事業などの多岐にわたる事業を含むソリューション領域は、既存事業の継続拡大を進めるとともに、一部事業については方向転換を行い構造改革を推進する。

 構造改革を進める事業の1つが、コミュニケーション事業だ。2023年5月15日には、コンシューマー向けスマートフォン事業の終息を発表。2022年度中に新規開発を終了し2024年度には販売を終了する計画だ。一方で、法人向けの通信端末や通信サービス、さらにミリ波5Gなどによる通信インフラ関連事業については強化を進め、これらを中心とした事業体へと転換を図る。「既に北米では個人向けの事業は終息しており、高耐久モデルなどを法人向けで展開していたのみだった。同様の体制へ日本も転換する」(谷本氏)。これにより2025年度にはコミュニケーション事業で売上高2700億円、営業利益率7%を目指す。

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コミュニケーション事業の方向性[クリックで拡大] 出所:京セラ

 エネルギー事業も方向転換を図る。従来の太陽電池や蓄電池を販売するモノ売りから再生可能エネルギー需要などに応じる法人向け電力販売サービスなどを中心としたコト売りへとシフトする。具体的には、京セラが設置した太陽光発電システムや蓄電池システム、SOFC燃料電池システムなどを通じて得た電力の余剰分を京セラが取りまとめて、需給調整やマッチングなどを行ったうえで、販売するサービスビジネスを本格化する。京セラ拠点内での活用に加え、事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うイニシアチブ「RE100」に参加する企業などへの販売を積極的に行う方針だ。こうした新たな事業を形にすることでエネルギー事業として2025年度に売上高600億円、営業利益率5.0%を目標としている。

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エネルギー事業の方向性[クリックで拡大] 出所:京セラ

 一方で機械工具事業とドキュメントソリューション事業については、既存領域の延長線上での成長を推進する方針だ。機械工具事業は引き続ぎグローバルでの市場拡大が期待され、欧州やアジアでの販売強化や特注工具、DX付加サービスの展開などで成長につなげる。ドキュメントソリューション事業は、オフィスのペーパーレス化が進むためMFPやプリンタ市場は縮小するモノの、商業用インクジェットやECM(エンタープライズコンテンツマネジメント)システムなどが成長する見込みだ。谷本氏は「機械工具事業では積極的な投資を継続しグローバル総合工具メーカーとして事業拡大を進める」と語る。

photophoto 機械工具事業の方向性(左)とドキュメントソリューション事業の方向性(右)[クリックで拡大] 出所:京セラ

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