激変する製造業、今こそ「スキルマネジメント」で組織力向上を!:ゼロから学ぶ! 製造業のスキルマネジメント(1)(3/3 ページ)
昨今、製造業を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。この中で、力量管理で扱う人材情報に注目し、戦略的な人材育成/配置や組織力強化への活用を目指す企業が増えてきました。こうした組織的なデータ活用による発展的な力量管理を、本連載では「スキルマネジメント」と呼び、その考え方や取り組み方を解説していきます。
データベース化を基に現状を評価
先に結論を言えば、最初に取り組むべきは従業員が保有するスキルや経験のデータベース化です。一般的に問題解決は「ありたい姿と現在のギャップを把握し、打ち手を講じる」という進め方を取りますが、これはスキルに関しても同様です。自社の事業/組織に必要なスキルを定義し、現状を評価します。スキルギャップ(不足スキルや強化すべきスキル)を特定し、それを補うために必要な施策(能力開発プログラムの実施など)を講じ、PDCAを回していきます。
もし、組織として従業員が保有するスキルや経験をデータベース化していない場合、このような取り組みは困難と言わざるを得ません。実は、多くの製造業にとって、このスキルや経験のデータベース化が課題になっています。読者の皆さまの会社ではいかがでしょうか。
製造業は自社が持つ技術に誇りを持ち、競争優位性の源泉たるコア技術を把握しています。しかし、その技術を下支えするスキルや経験に関して、「誰がどんなスキルをどんなレベルで保有しているか」や「誰がどんな経験を積んでいるか」などの情報を組織として十分把握できていないケースが多い印象です。
スキルデータを利活用して課題解決を
スキルマネジメントの理想形は「自社に必要なスキルを定義し、評価/育成/維持すること。そして、その過程で生まれたスキルデータを可視化/利活用し、事業や組織課題の解決につなげること」です。
自社の力量管理/スキル管理が形骸化している場合、どのようにスキルや経験のデータベース化を進めれば良いのかと悩む方も多いでしょう。次回は、スキルの定義や整理の進め方に関して紹介していきます。
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