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先進国の「工業」労働者数は停滞傾向、代わりに勢いを増す産業は?小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(10)(1/2 ページ)

ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。第10回では、先進国間での産業別労働者数の推移を確認します。

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「工業」の労働者数は横ばいに

 今回は、労働者数から見た主要国の産業構造の変化についてご紹介します。今回参照する統計データは、OECDデータベースのうち「Population and employment by main activity」です。

 この統計では、OECDの区分(国際標準産業分類:ISIC REV.4に準拠)ごとに労働者数の推移が集計されています。今回は日本、米国、ドイツについて、産業ごとの労働者数の推移を眺めてみましょう。

 まずは日本のデータからです。図1に日本の産業別労働者数の推移を示しました。


図1:日本の産業別労働者数[クリックして拡大] 出所:OECD統計データを基に筆者にて作成

 「工業」(赤)、「建設業」(水色)、「農林水産業」(濃緑)で労働者が減少していて、「公務・教育・保健」(緑)と「専門サービス業」(紫)が増加している様子が分かりますね。特に公共性の高い「公務・教育・保健」が、近年では「工業」を抜き、2番目に労働者数の多い産業になっています。

 最も労働者数が多い「一般サービス業」はやや減少傾向にあります。また「工業」「建設業」も減少傾向にあり、一方で「公務・教育・保健」「専門サービス業」は増加傾向にあります。ただし「工業」は2012年ごろから減少傾向に歯止めがかかり、横ばいに変化しています。

 なお、「公務・教育・保健」は、国際標準産業分類の大分類で定めるところの「公務(O)」「教育(P)」「保健衛生及び社会事業(Q)」で構成されます。専門サービス業は「専門・科学・技術サービス業(M)」「管理・支援サービス業(N)」で構成されます。

 「専門・科学・技術サービス業」には、税理士などの士業や、コンサルタント、科学研究/開発業、広告/市場調査業など専門的な仕事が含まれます。「管理・支援サービス業」には、職業紹介業、警備/調査業、事務管理、事務支援やその他の事業支援サービス業など、業務支援的な仕事が含まれます。

表1:日本の産業別労働者数
産業 労働者数(1997年) 同(2019年) 増減数
工業 1420万人 1140万人 −270万人
一般サービス業 2000万人 1860万人 −140万人
建設業 700万人 480万人 −220万人
専門サービス業 480万人 770万人 +290万人
公務・教育・保健 800万人 1270万人 +470万人
上記以外 1380万人 1340万人 −40万人
全体 6780万人 6860万人 +80万人

米国は「公務・教育・保健」の労働者数が最多に

 日本の労働者数変化の傾向は、世界的に見ても一般的なものといえるのでしょうか。他の国々の状況を見ていきましょう。図2が米国の産業別労働者数のグラフです。


図2:米国の産業別労働者数[クリックして拡大] 出所:OECD統計データを基に筆者にて作成

 日本と大きく異なるのが、2000年時点で「公務・教育・保健」がすでに一般サービス業と並ぶくらい労働者数が多いことです。なおかつ、その後も増加が続いており、最近では最も労働者数の多い産業となっています。2020年には全体的にコロナ禍の影響と思われる減少傾向が見られますが、2021年には以前に近い水準を回復している様子も見て取れます。

 「工業」も全体的に見ると減少傾向にありますが、近年は横ばい傾向が続いています。「専門サービス業」も増加傾向が続いています。表2を見ても分かる通り、米国の労働者数は2000年から2019年の19年間で約2000万人増えていますが、「公務・教育・保健」ではその約半数に相当する1070万人増加しています。

表2:産業別労働者数
産業 労働者数(2000年) 労働者数(2019年) 増減数
工業 2180万人 1840万人 −330万人
一般サービス業 3470万人 4000万人 +530万人
建設業 990万人 1140万人 +150万人
専門サービス業 1210万人 1580万人 +370万人
公務・教育・保健 3460万人 4530万人 +1070万人
上記以外 2610万人 2890万人 +280万人
全体 1億3920万人 1億5970万人 +2050万人
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