FPGAからASICへ、ザイリンクス買収したAMDがメディアアクセラレータカードを刷新:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
AMDは、5nmプロセスで製造したASICの搭載により次世代コーデック「AV1」のエンコードを最大32チャネル同時に実行できるメディアアクセラレータカードの新製品「Alveo MA35D」を発表した。
AMDは2023年4月6日(現地時間)、5nmプロセスで製造したASICの搭載により次世代コーデック「AV1」のエンコードを最大32チャネル同時に実行できるメディアアクセラレータカードの新製品「Alveo MA35D」を発表した。既にサンプル提供中で、2023年第3四半期(7〜9月)の量産出荷を予定している。量産時の価格は1595米ドル(約21万円)を見込む。
旧ザイリンクス(Xilinx)時代から展開が始まったアクセラレータカード製品の「Alveo」は、これまではFPGAやFPGAファブリックを搭載するSoCを搭載していた。今回のAlveo MA35Dは、FPGAではなくASICを搭載するとともに、カードのイメージカラーもザイリンクス時代の赤から黒に変更されている。
Alveo MA35Dは、メディアサービスのストリーミングモデルが、動画サイトなどから多数のユーザーに向けて配信を行う1対数百万のブロードキャストモデルから、クラウドゲーミングやビデオ会議をはじめ数百万対数百万になるインタラクティブモデルへの移行を想定したインフラの整備に向けて開発した製品となる。
最大の特徴はインタラクティブなストリーミングに対応するインフラをコスト効率良く構築/拡張できることだ。5nmで製造したインタラクティブストリーミング向けのASICは、AV1専用のエンコーダー×2、AV1に加えてH.264やHEVCといった現行のコーデックに対応するエンコーダー×2を搭載している。1基のエンコーダーで1080p60のフルHD映像×4のエンコードに対応する。Alveo MA35DはこのASICを2個搭載しているので、最大32チャネルのエンコードが可能になる。Alveo MA35D1枚当たりの消費電力は35Wなので、1チャネル当たりの消費電力は約1Wに抑えられる。
前世代のメディアアクセラレータカード「Alveo U30」と比べても、Alveo MA35Dは大幅な性能向上を達成している。チャネル密度は4倍になり、チャネル当たりのコストも2分の1に低減される。レイテンシもAlveo MA35Dでは4K映像のAV1によるエンコードが8msとなっており、Alveo U30における4K映像のH.264エンコードの32msと比べて4分の1になっている。
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