しっとり食感のドライフルーツを作れる冷蔵庫を実現する新技術、色味も鮮やかに:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
パナソニック くらしアプライアンス社は、家庭用および業務用の冷蔵庫に導入可能な技術として「常圧凍結乾燥技術」の開発進めている。
冷蔵庫は保管庫ではなく調理庫を目標に
既に、常圧凍結乾燥技術を用いて、KYOTO SNT LAB.のメンバーである懐石料理店「一子相伝なかむら」の中村元計氏が考案した雑炊や、京懐石料理店「直心房 さいき」の才木充氏が考えた鰻炊き込みご飯、京料理店「木乃婦」の高橋拓児氏が作成したぜんざいの乾燥食品プロトタイプを完成させている。
鰻炊き込みご飯の乾燥食品に関しては、パナソニックが運営する家電レンタルとこだわり食材の月額サービス「foodable(フーダブル)」で限定販売する。
現在、パナソニック くらしアプライアンス社では同技術を搭載した家庭用および業務用の冷蔵庫を開発することも検討しているという。同社の冷蔵庫事業では、今回の技術を含む冷却技術やIoT(モノのインターネット)の活用などで、食品の保管庫として利用されている冷蔵庫が「調理庫」として使われるようになることも目指している。
今後の目標としては、同技術を活用し、廃棄される規格外の青果物や完熟果物、未利用魚の加工を行い、コールドチェーンが未整備の地域で産地ロスと食品ロスを削減することなどを掲げている。
キッチン家電事業の歴史
今日では、パナソニック くらしアプライアンス社がその役割を担うパナソニックのキッチン家電事業は、電気コンロの生産を開始した1927年にスタートした。その後、1935年にはトースターとコーヒー沸かし器を発売し、1953年に家庭用冷蔵庫を上市して、1956年に電気炊飯器をリリースし、1966年には家庭用電子レンジの販売を開始するなどして、事業を広げた。
家電製品を通じて家事の負担軽減を図るとともに、食品を冷凍保存する2ドア冷凍冷蔵庫と食品を解凍する電子レンジを組み合わせて冷凍食品を積極的にメニューに取り入れることなどを推奨し、常に社会変化に合わせた新たなライフスタイルを提案してきたという。さらに、科学的なアプローチでおいしさを追求し、調理家電の進化を通じて豊かな食卓を届けてきた。
2001年以降は、産学連携で「食のおいしさ」に関する研究に着手し、その研究成果を製品開発に応用している。例えば、冷凍に関する成果としては、急速冷凍により解凍加熱後もおいしい味を保つ技術「はやうま冷凍」を開発し、霜つきを抑えておいしさを長持ちさせる技術「うまもり保存」も開発した。
こういった技術により食品の保存庫から、おいしく保存という新たな価値を提案する調理庫へと、冷蔵庫を進化させているという。そして、新たな食の価値創造を目的に未来の食プロジェクトを始動した。
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