「誰でも簡単IoT」を目指すifLinkの現在地、いよいよ商用化を加速:製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)
「誰でも簡単にIoT(モノのインターネット)が使える世界」を目指すifLinkオープンコミュニティだが、その現在地はどうなっているのだろうか。代表理事を務める岡田俊輔氏に話を聞いた。
「誰でも簡単にIoT(モノのインターネット)が使える世界」を目指し、2020年3月に発足したのがifLinkオープンコミュニティだ。「業界や企業の枠を超えて、今までになかったものを作る」ことを掲げて活動を進めてきたが、その進捗度はどうなっているのだろうか。代表理事を務める岡田俊輔氏(東芝 執行役上席常務、東芝デジタルソリューションズ 取締役社長)に話を聞いた。
“部活”でさまざまな実証を推進
ifLinkは、東芝デジタルソリューションズが独自開発したIoTプラットフォームで「ドアが開いたら(IF)、ライトが光る(THEN)」のように、IF-THEN型の設定だけで動作させることができる簡単さが特徴だ。スマートフォン端末のアプリを使い、ITの専門知識を持たないユーザーでも活用できるようにすることで、IoTをより広く普及させる「IoTの民主化」を目標として掲げている。そのため普及団体として企業の壁にこだわらないオープンコミュニティーを立ち上げて、活動を進めてきた。
活動開始から約3年が経過したが、ここまでの進捗度として岡田氏は3つの点での成果を挙げる。「1つ目がアイデアを形とし実証などを重ねた上で、これらのいくつかがビジネスフェーズに入ってきたことだ。2つ目が教育現場などでデザインシンキングやデジタル教育などで使われるケースが生まれてきたこと。そして3つ目が、対応デバイスが約600まで増えてきたことだ。一から開発する負荷が低減でき、普及を加速させることができる」と岡田氏はここまでの手応えについて語っている。
ifLinkオープンコミュニティには現在150社前後が参加しており、その中で目的に応じて参加メンバーが集まって“部活”が行われている。その“部活”の中から、研究テーマに応じて実証などが行われ、多くのユースケースが生まれてきている。“部活”には、「IoTメイカーズ!部」や「産官学イノベーションベース部」「街灯を利用した街中IoT部」「大喜利部」「電池レスビーコンでIoT部」「指紋認証でイフる部」「イフらせよう部」など多種多様なものがあるが、それぞれが実践的な成果を生み出しつつある。「熱心で多様な参加者が集まっており、SNSツールなどを使って活発なコミュニケーションが行われている」と岡田氏は活動について語る。
例えば、「IoTメイカーズ!部」を通じて開発され、PoC(概念実証)用にさまざまな形で使用されているのが「ifCheck」や「ifButton」「ifSwitch」だ。これはそれぞれの物理的なボードやボタン、スイッチなどを操作すると、その情報がIoTにより送られてさまざまな操作や管理などが行えるというものだ。
例えば、チェックボード状の「ifCheck」は、オフィスや医療、介護、店舗、工場などでよく使用されている紙の作業チェックボードをイメージしたものだ。チェック項目のタブをスライドさせてON/OFFを切り替えたタイミングでIoTによって情報が飛び、他のデバイスと連動したり、情報を管理サーバに伝えたり、作業通知を行ったりできる。
ifCheckのイメージ。介護のチェック項目となっているが、項目部の紙を入れ替えれば他の作業項目ですぐに利用できる。チェック紙を回収することなくチェック結果を一元管理することなども可能だ[クリックで拡大]
「ifButton」は、Bluetoothのアドバタイズビーコンを発信するボタンで、レジや受付、サイネージとの連携などで活用できる。通常の無線型ボタン機器は、スマートフォン端末とのペアリングが必要になるが、ペアリングなしに事前に設定した機械の稼働などが可能となる。例えば、来場者のレベルに合わせた、説明内容をロボットに説明させるなど、さまざまな情報を出し分けるトリガーとして使用できる。
「ifSwitch」は、産業機器をコントロールする制御盤に後付けで設置できる「ボタン押し機」だ。ソレノイドを使って垂直に押し出す機構を備えており、これによりさまざまな産業機器のボタンを押すことができる。例えば、ifLinkと組み合わせて、リモコンボタンを押すと遠隔でベルトコンベヤーのボタンを押し、ON/OFFを切り替えるような使い方が可能だ。工場内では計測結果の表示盤と、これらの機器を操作する制御盤が離れているようなところも多い。ifSwitchを使えば、表示盤の位置から動かずに、遠隔で制御盤のifSwitchを動かしてボタンを押し、機械の動作を操作できる。人の無駄な移動を抑えられるというわけだ。
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