新規顧客が集まらない製造業のWebサイト、活用を阻む3つの壁:間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(2)(2/2 ページ)
コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第2回のテーマは「製造業がWebサイトを活用する上での3つの壁」だ。
第2ステップ:対策すべきキーワードを4つの基準で選ぶ
次に検索順位を高めたいキーワードを1つ決める。選定は以下の4つの基準に従い、総合的に判断をする。
(1)キーワードプランナーで検索需要を調べる
該当のキーワードが月間でどれぐらい検索されているかを調べる。Googleが提供する「キーワードプランナー」というツールで調べることが可能だ。
検索需要は大きい方がよいが、大きすぎると検索の順位を上げづらい。技術系キーワードの場合は数百〜千ぐらいの順位のものがお勧めだ。
(2)検索エンジンで競合サイト数を調べる
キーワード検索をした際に表示されるサイト数がどれぐらいあるのかを調べる。これらは競合サイトとなるため、なるべく少ない方が好ましい。
(3)キーワードと自社との関連性を評価する
関連の薄いキーワードでWebサイトにアクセスされても、問い合わせにはつながりづらい。自社との関連性を評価する必要がある。
(4)自社の強みに合致するかを評価する
問い合わせがあっても、受注につながらなければ意味がない。自社の強みが生かせるキーワードかどうかも精査すべきだ。
第3ステップ:対策をするページとコンテンツの準備
キーワードが決まったら、次はどのページで対策を実施するのかを検討する。非常に重要だが、この必要性を認識していない企業は多い。SEO対策は基本的に1ページずつ行う必要があり、対策すべきページに集中してコンテンツを作ることが重要だ。その上で、制作時のポイントを2つ紹介する。
(1)競合調査の実施
該当キーワードで上位に表示されている上位10サイトを参考にして、必要となる情報を調査する。どのような情報があればユーザーのニーズを満たせるかを確認する。おそらく、これらのサイト間で共通項目が見つかるはずだ。
(2)技術を知らないユーザーにも伝わるコンテンツを用意する
技術者の中には既に技術を知っている人に見てもらえればよいと考え、基礎的な情報を省く傾向がある。しかし、設計開発者の中には熟練者もいれば、これから知識を蓄えようとする初心者もいる。どちらのユーザーにも伝わるコンテンツをそれぞれ用意し、網羅することが重要だ。
ただし、基本的なことばかり書いてあると他サイトの説明とも似通ってしまうだろう。目安として一般的な情報が8割、自社独自の専門コンテンツが2割という比率を意識し、価値あるページとしての差別化を行う。
こうした考えに基づき、例えば「5軸加工」というキーワードでページ制作を行う際のコンテンツを下記に記載する。
第4ステップ:効果計測(キーワード順位の計測)
対策に注力した1ページを作成して公開したら、定期的に検索順位や流入キーワードの計測を行う。おおよそ2〜3週間ぐらいから順位が変動し始めるため、まずは10位以内に入ることを目標とする。入らないようであれば、ページの見直し、コンテンツの拡充を行う。
以上のように、最初の壁を突破するためには、まずはしっかりと企画を練りこんだ1ページを作り、勝負することが重要だ。
実際に、30人ほどのロストワックス鋳造を行う会社の事例がある。企画を練り、コンテンツをしっかり用意したことで、「ロストワックス」というキーワードで検索結果は1位となっている。検索需要3000件ほどのキーワードで1位を獲得したことで、継続的な問い合わせの呼び込みに成功し、顧客を開拓している。
企業の規模にかかわらず、やるべきことをしっかりやれているかどうかで、事業への効果が大きく変わることを証明している。
検索順位で1位を達成する必要はないが、ユーザーの目に入りやすくするため最低でも10位以内を目標にしたい。1つが成功したら次のキーワードを決め、再度ページを作りこみ、効果計測を行い、そしてまた次のキーワードへと繰り返し行う。地道な作業の積み重ねと小さな成功体験から新規の顧客を呼び込むWebサイトへ進化させることが可能になる。まずは現状分析からぜひ実践してほしい。
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筆者紹介
井上正道
テクノポート株式会社 取締役
製造業のWebマーケティング支援を15年以上行っている。製造業への訪問実績は2,000社を超える。幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規開拓営業の支援を行う。
『マーケティングスキル×Webスキル(SEO中心)×製造業に関する深い知識』
この3つのスキルを組み合わせることで独自の専門領域を作り、卓越した力を発揮する。
日本工業大学技術経営学修士(MOT)2023/3卒業
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