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設備は自由に使って良し! 山形の板金屋さんが「放課後工房」を始めたワケワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(1)(2/3 ページ)

本連載では、厳しい環境が続く中で伝統を受け継ぎつつ、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は板金加工を手掛ける山形県のみよし工業に取材しました。

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チタンオンリーにこだわったアクセサリー


みよし工業の社屋入口に展示されたアクセサリー。山形県の形をかたどったチャームも(写真中央左)。山形県の形は人の横顔に見えます[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞

――B2C向けの製品に着手したきっかけを教えてください。

斎藤さん B2Cに挑戦しようと考えたのは社長でした。本業である板金の仕事は、受注が重なるとパンク寸前になりますが、一方で忙しくない時期もあります。本業があまり忙しくない時にできることはないだろうか、というところから発案しました。法人向けの仕事だと納期がありますが、個人向けに販売する商品だと法人向けのような納期がなく、ある程度私たちのペースで製品を作ることができます。

――お二人は開発をご担当されているのですか?

斎藤さん 開発もやりますし、実際に作ってみるところもやっています。

鏡さん 溶接でピアスを作りたいと思っていたのでやりたいことが実現できています。B2C向けの製品を作ること自体も楽しいですし、作りながら溶接の技術を学べます。

――製品のこだわりを教えてください。

斎藤さん オールチタン製であることです。接着剤なしでチタン素材のパーツ同士を溶接しているため、金属アレルギーの方でも安心して身に着けていただけるアクセサリーです。チタンの溶接は難しいのですが、本業で培ってきた技術を生かしています。

――チタンの溶接はどのように難しいのでしょうか?

斎藤さん 理由は幾つかあるのですが、チタンに熱を加えると、空気中の物質と結び付きやすくなるためすぐに酸化してしまいます。そのためアクセサリーとしての外観はもちろんのこと、チタンの性質を保持するために極力酸化させない技術が必要となります。社内の職人さんにアドバイスをもらいながら挑戦しています。


斎藤さんがデザインしたピアス。ネギの風合いが焼色で表現されています[クリックして拡大] 出所:ものづくり新聞

鏡さん 加工を施した時に素材表面に発生する焼けたような跡を除去することを「焼け取り」といいますが、この作業1つを取っても難しいです。1つ1つの作業どれも難しいので技術の向上を図り、アクセサリーのクオリティーを上げていきたいと思います。

――自社製品開発に携わっている方は他にもいらっしゃいますか?

斎藤さん 最初は私たちだけで取り組んでいましたが、4、5カ月前※1にさらに3人を加えたプロジェクトチームを立ち上げ、毎週水曜日にミーティングをしています。

※1:2022年1月時点で。

――プロジェクトのミーティングではどのようなことを相談されているのでしょうか?

斎藤さん 新製品の開発や販売方法についてです。現時点で販路は自社ECサイトを中心に、山形県や福島県で開催されているマルシェなどにも出店しており、知名度アップを目指しています。


みよし工業の作業場の様子 出所:ものづくり新聞

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