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電池の「SOC」「SOH」は何を示している?今こそ知りたい電池のあれこれ(19)(2/3 ページ)

電池の性能を「客観的」に示すため、さまざまな指標が用いられます。その中でも代表的なのが「SOC」と「SOH」です。今回はこれらの指標について、基本的な内容から、意外と見落とされがちな要素まで、まとめて解説していきたいと思います。

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SOH=容量の低下……ただし劣化した理由はさまざま

 SOHは「State of Health」の略であり、電池の容量劣化状態をパーセンテージで表す指標です。「Health」という言葉が使われているため、電池の「健康度」や「健全度」などと呼ばれることもあります。SOCと同様に電池の容量に絡んだパーセンテージで表される指標であり、略称自体も似ていますが、それが表す意味合いとしては全く異なるものである点は注意が必要です。

 SOHが表すのは、劣化前後での電池の容量比であり、初期の電池容量を100%とした際に劣化時の容量が占める割合です。仮にSOHが70%の電池があるとすると、この電池の容量は新品のころと比べて30%低下しているということを意味します。

 SOHは電池の「容量劣化」を示す指標としてはとても分かりやすい値ですが、用いる上では注意すべき点もあります。それは、SOHが示しているのはあくまでも「容量劣化」の結果であり、必ずしも容量以外の電池特性や安全性に寄与するような電池の「内部状態」を反映できているとは限らないという点です。

 SOHは電池の「健康度」と呼ばれることもあると先ほど述べましたが、まさしく電池における「健康診断」の判定結果(A、B、C……)のようなものであるといえるかもしれません。


同じ「C判定」でも要因はさまざま。電池も同じ[クリックで拡大]

 健康診断の結果が同じC判定だったからといって、皆同じように身体を悪くしているわけではないでしょう。肝臓を悪くした方もいれば、血圧が高い方も、空腹時血糖値が高い方もいらっしゃいます。また、体調不良が生じた理由についても、日頃の不摂生がたたった方もいれば、先天性の疾患がある方もいらっしゃるかもしれません。人によって、それぞれ不調を訴える場所やそれが生じる要因が異なったとしても、健康診断の判定としては総じて同じ「C判定」という結果になります。

 電池の「SOH」(State of Health)にも同様のことがいえるかと思います。SOH70%という値から分かるのは、電池容量が新品のころと比べて30%低下しているという結果だけです。その30%分の容量について、電池内部のどこがどのように劣化したことで失われたものなのかという、電池の状態や劣化要因を示すものではありません。電池によって、それぞれ劣化した場所や劣化が生じた要因が異なったとしても、SOHの測定値としては総じて同じ「70%」という結果になります。

 こういった事例は東芝(※2)や製品評価技術基盤機構(NITE)(※3)の公開資料の中でも報告されており、たとえSOHの値が同じパーセンテージであったとしても電池内部の劣化状態が異なる場合があることが示されています。

(※2)関連リンク:「電池の劣化把握と有効活用を実現する充電曲線解析技術」https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/migration/corp/techReviewAssets/tech/review/2016/02/71_02pdf/r01.pdf
(※3)関連リンク:「定置用蓄電システムの劣化後の安全性に関する評価技術開発」https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/storage_system/pdf/002_05_03.pdf

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