新キャラ“アト姉さん”が自動化をアピール、大幅軽量化の回転角センサーも:第7回 ロボデックス
松尾製作所は「第7回 ロボデックス」に出展し、独自開発のレゾルバやグループ会社のATOMが手掛けた汎用外観検査装置などを展示した。
愛知県に本社を置く自動車部品メーカーの松尾製作所は、グループ会社で設備メーカーのATOMらとともに「FACTORY INNOVATION Week 2023」(2023年1月25〜27日、東京ビッグサイト)における「第7回 ロボデックス」に出展し、開発中のレゾルバやATOMが手掛けた汎用外観検査装置などを展示した。
レゾルバの大幅な軽量化に成功、各種自動化装置も出展
レゾルバは回転角センサーとも呼ばれ、モータの内部で回転の制御を担う重要な部品となっている。車両の駆動用モータの回転角度を制御する際は、一般的にステーターに電磁鋼板を積層させた部品で構成されるが、松尾製作所では新たなコの字型の構造によるシンプルなステーターに置き換えることで従来品と比べて約7割の軽量化を実現した。特許を取得しており、自動車メーカーの関心も高いという。構成部品が少なく簡単な構造のため耐久性、耐環境性に優れており、ATF(オートマチックフルードオイル)環境下でも使用可能となっている。
汎用外観検査装置はパーツフィーダーから供給されたワークをロボットが取り出し、外観検査を行う検査部に配置。ブースでは画像処理で汚れなどの外観検査を行った後、ロボットがワークを良品、不良品に振り分けていた。ATOMの高汎用クイックチェンジシステムを採用しており、工具を使わずにツールの交換を素早く行うことができ、1台の装置で多品種の検査が可能になっている。ワークチャック部、検査治具部もロボットにより自動で交換できる他、パーツフィーダーも脱着して別のワークのパーツフィーダーにすることができる。
汎用半自動Oリング挿入装置も工具を使わずにツールの交換が可能で、1台で複数のワークへOリングが挿入できる。ワーク、Oリングの供給に同社の汎用パーツフィーダを連結することで、全自動での挿入も可能になる。作業も治具にワークとキャップをセットし、Oリングをキャップに載せるだけだ。キャップ軸は径10〜16mm、リングサイズはS8、S9、S10、S12、S14、P8、P9、P10、P11、P12に対応する。
ブースを盛り上げるイメージキャラクター、認知度向上に活躍
ブースでひときわ目立っていたのは、松尾製作所のイメージキャラクター「マツオちゃん」とATOMのイメージキャラクター「アト姉さん」だ。マツオちゃんは前回のロボデックスで初公開され、アト姉さんは今回のロボデックスが初お披露目となった。2021年に松尾製作所のグループ会社になったアニメーション制作会社のエルフィンが、「エルフィンちゃん」というイメージキャラクターを持っていたことから誕生した。マツオちゃんの設定は「電子の海から生まれた妖精の女の子」で、頭に付いているのはレゾルバとなっている。アト姉さんの設定は「工業の世界から生まれた、ほんわか系お姉さん」で、背中にはロボットアームが付いている。
イメージキャラクター活用の目的は会社の認知度向上だ。松尾製作所 技術開発部 部長の高橋亨氏は「抜群の集客力だ。“なんだろう?”とブースに寄っていただけるし、何よりブースを訪れていただいた方が笑顔になる」と語る。イメージキャラクターは本社受付で来客を出迎える他、会社紹介の動画にも登場、キャラクターのラッピングをした従業員の送迎バスもあり、「地域の子どもたちから手を振ってもらえる」(説明員)。
展示会では、イメージキャラクターを用いてVTuber(ブイチューバー)による会場レポートが行われ、ロボットにもラッピングを施した。イメージキャラクターの存在は採用活動にも好影響を及ぼしているという。2024年のロボデックスには、同じグループ会社の三光ダイカスト工業所のイメージキャラクターが新たに登場する予定だ。
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