4ステップで進めるDX、未来を「想像」するのではなく「創造」せよ:DXによる製造業の進化(8)(1/3 ページ)
国内企業に強く求められているDX(デジタルトランスフォーメーション)によって、製造業がどのような進化を遂げられるのかを解説する本連載。最終回となる第8回は、4つのステップから成るDXを実現するためのアプローチについて紹介する。
DXを実現するための4つのステップ
前回までは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けて、実際にどのようなビジネスが生み出されているのか、本連載の第2回で取り上げた「場の創造」「非効率の解消」「需給の拡大」「収益機会の拡張」の4つの方向性に基づいて具体例を紹介してきました。そこにはビジネスモデルの革新を図るに当たってのヒントがちりばめられていたはずです。
本連載の最終回となる今回は、DXを実現するためのアプローチを解説します。そのステップは、「目指す姿の構想」「戦略の策定」「実行計画の作成」「推進体制の構築」の4つに大別されます。
Step1:目指す姿の構想
あらためての確認ですが、DXは「デジタル技術を活用したビジネスモデルの革新」です。ビジネスモデルを革新することが目的ではなく、目指す姿を実現するために、ビジネスモデルを革新するのです。デジタル技術を活用しても、ビジネスモデルを革新しても、企業としての目指す姿の実現に結び付かないのだとすれば、経営手腕を問われることになります。DXの推進は、目的ではなく、目指す姿を実現するための手段なのです。
故に、最初に考えるべきは、DXを進めた成果として「誰に、どのような価値を、どうやって提供する会社を目指すのか」ということです。本連載の第1回でDXの進化形態を紹介しましたが、「DX4.0:インダストリアルトランスフォーメーション」の実現までを見据えるのであれば、「どのような社会・経済になることを望むか」「その実現に向けてどのような役割を担うか」といったことも構想しておくとよいでしょう。
目指す姿を考えるに当たって基本とすべきは、事業性のあるビジネスモデルを描くということです。本連載の第3回で記したように、「DX時代ならではのビジネス」であっても収益性や成長性を欠いては事業として成立しません。「需要性」や「経済性」があれば、ユーザーを獲得することも、リターンを得ることも十分に見込めます。「先行者優位性」や「競争優位性」があれば、他社との競争に打ち勝てるはずです。これらの要件を基準に目指す姿を具体化し、検証と再考を繰り返すことで、より事業性のあるものにしていくことが期待されます。
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