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PLMとBOMの基礎知識(1):BOMに求められる役割はどう変化してきたかDX時代のPLM/BOM導入(10)(1/2 ページ)

本連載では製造業DXの成否において重要な鍵を握るPLM/BOMを中心に、DXと従来型IT導入における違いや、DX時代のPLM/BOM導入はいかにあるべきかを考察していく。第10回は、音更さんと鹿追さんがBOMの基礎と、要求される機能が時代と共にどう移り変わったかを解説する。

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 前回に引き続き、グローバル製造業の経営企画部門に所属する音更しほさんと、経営コンサルタントの鹿追然さんに登場してもらって、PLMやBOMについての理解を深めていきましょう。

 前回は音更さんから、そもそもPLMやBOMがどういうものか分かっていないとの発言がありました。それに対して鹿追さんは、PLMやBOMの重要性や複雑性は変化してきているとコメントしました。今回は、それらについて解説を進めていきます。

⇒連載「DX時代のPLM/BOM導入」のバックナンバーはこちら

本連載の登場人物

音更しほ(おとふけ しほ):大学の工学部を卒業後、とあるグローバル製造業の経営企画部門に配属された入社3年目の社員。会社の戦略で、グローバル製品開発を可能にする情報基盤の企画を担当することに。PLMやBOMについて勉強中。


鹿追然(しかおい ぜん):製造業特有の業界事情に詳しく、製品開発やPLM、サプライチェーンマネジメント(SCM)の業務改革経験も豊富。経営コンサルティング会社「鹿追コンサルタント」を率いる。


(※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。

BOMは「料理のレシピ」

鹿追さん、前回はグローバルPLMやSCMについて教えていただき、ありがとうございました。全体的なコンセプトは分かったのですが、もっとPLMやBOMの基礎的な部分を理解したいです。初歩的ですみません。


分かりました。では最初にBOMの話をしましょう。そもそも、音更さんはBOMとはどのようなものかご存じですか?


BOMは部品表のことで、製品を完成するために必要な部品リストだと理解しています。先輩からは、お料理だとレシピみたいなものだと教えられました。


そうです。レシピと同じなのです。料理で例えると分かりやすいですね。料理では下ごしらえや調理の工程があって、それぞれの工程に必要な食材がありますよね。製品を製造する工程も同じように、下ごしらえに該当する部品加工工程と、調理に該当する組立工程があります。それらの工程に必要なレシピをBOM、と考えると理解しやすいと思います。


なるほど! 製造業の製造工程やBOMは、お料理の調理工程やレシピと同じなのですね。BOMの存在が少し身近になってきました。


年代で移り変わってきたBOMの目的/要求

では、最初にお話しがあった、BOMの重要性や複雑性が変化しているというのはどういうことでしょうか?


それは、製造業の外部の環境変化と関係があるのです。2000年になってから、市場ニーズの多様化による製品バリエーションの増加に加えて、開発、生産拠点の分散化、グローバル化、化学物質やトレーサビリティーなどコンプライアンスの強化に代表される経営課題が発生してきました。それに対して製造業は業務改革や情報システムを対応させてきたのですよ。


BOMもまた、そうした変化に対応してきたということですか?


そうです。実はBOMへの対応は現在も進行中で、多くの企業がプロジェクトを実施しています。私の感覚的なBOMに関連するテーマを表にざっくりとまとめてみました。全ての企業がこれに当てはまるわけではないですが、大きく3つの年代別(2000年以前、2010年まで、2010年以降)にBOMへの要求事項を分類しています。



年代別のBOMへの要求事項[クリックして拡大]

こんな表は初めて見る気がします!


そうかもしれませんね! 〇は多くの企業、△は一部企業の取り組みテーマを表現しています。


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