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DX時代の「グローバルPLM」(2):工場間での実績情報共有を可能にするDX時代のPLM/BOM導入(9)(1/3 ページ)

本連載では製造業DXの成否において重要な鍵を握るPLM/BOMを中心に、DXと従来型IT導入における違いや、DX時代のPLM/BOM導入はいかにあるべきかを考察していく。第9回は、音更さんと鹿追さんがSCMと生産情報実績と、グローバルPLMの関係についてディスカッションする。

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 前回から、グローバル製造業の経営企画部門に所属する音更しほさんと経営コンサルタントの鹿追然さんが登場して、「DX時代のグローバルPLM」をテーマにしたレクチャーを行っています。今回はグローバルPLMを用いた、生産工場で発生したサプライチェーンマネジメント(SCM)や生産実績情報の開発側へのフィードバックについて、2人にディスカッションをしてもらいましょう。

⇒連載「DX時代のPLM/BOM導入」のバックナンバーはこちら

本連載の登場人物

音更しほ(おとふけ しほ):大学の工学部を卒業後、とあるグローバル製造業の経営企画部門に配属された入社3年目の社員。会社の戦略で、グローバル製品開発を可能にする情報基盤の企画を担当することに。PLMやBOMについて勉強中。


鹿追然(しかおい ぜん):製造業特有の業界事情に詳しく、製品開発やPLM、サプライチェーンマネジメント(SCM)の業務改革経験も豊富。経営コンサルティング会社「鹿追コンサルタント」を率いる。


(※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。

連なるサプライヤーのつながりを管理する

鹿追さん、前回のセッションではグローバルPLMについて教えていただき、大変ありがとうございました! 勉強になりました。

前回の最後で、次はSCMや生産実績情報について解説すると仰っていましたね。今回はそれについて教えてください。


ところで不勉強で申し訳ありませんが……そもそも、SCMや生産実績情報とは何のことなのでしょうか?


基本的ですが、いい質問ですね。SCMとはサプライチェーンマネジメントの略で、日本語では「供給連鎖管理」と訳されます。


部品を例に考えてみましょう。音更さんの会社でもサプライヤー、いわゆる部品メーカーさんから部品を調達していますよね? そして、調達した部品を組立/加工し、製品に仕上げ、それを納入先企業に出荷します。このつながりのことをサプライチェーンと呼びます。その先では、納入先企業も調達した部品を加工/製造し、次の会社に出荷していきます。



図表1:企業内サプライチェーンと企業間サプライチェーン[クリックして拡大]

図表1のようにチェーンのようにつながって見えるから、サプライチェーンと呼ぶんですね! ところでSCMにはマネジメントという言葉が入っていますが、これはどういう意味合いがあるのでしょうか?


マネジメントの目標はPDCAサイクルを回しながら、計画通りにプロセスを遂行することにあります。サプライチェーンの重要指標になるのが、リードタイムや在庫回転率です。


例えば、ある部品の調達リードタイムが10日だとします。それは、発注してから納入まで10日かかることを意味します。この精度がよければ、組み立ての10日前に部品発注すれば、ジャストインタイムで組立工程に投入することができ、余分な在庫を自社で持つ必要がなくなります。製造のリードタイムについても同様に考えることができるのです。


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