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RTD商品の開発時間を半分に、サッポロビールがレシピ出力するAIシステム導入製造IT導入事例

日本アイ・ビー・エムは2022年11月29日、サッポロビールのRTD商品開発AIシステムとして「N-Wing★」を本格実装すると発表した。サッポロビールはN-Wing★を活用して、2023年の夏以降に新しいRTD商品の開発を目指すとしている。

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 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は2022年11月29日、サッポロビールのRTD(Ready to drink)商品開発AI(人工知能)システムとして「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」を本格実装すると発表した。サッポロビールはN-Wing★を活用して、2023年の夏以降に新しいRTD商品の開発を目指すとしている。

属人性の高い業務を変革する

 RTD商品はふたを開けてすぐに飲むことができる飲料のことを指す。従来、サッポロビールのRTD商品開発では、サプライヤーから得た原料情報を基に過去のレシピなどを参照する他、熟練の開発者から情報収集を行うなど、時間と手間をかけて試行錯誤を繰り返しながら開発を行っていた。


商品開発の流れとN-Wing★の適用範囲[クリックして拡大] 出所:日本IBM

 これに対して今回実装したN-Wing★は、新商品のコンセプトや必要な情報を入力すると、目標とする配合の骨格に基づいた原料の組み合わせや、各原料が商品全体の中に占める配合量をAIが予測し、推奨配合と推奨香料からなるレシピを出力する。開発担当者はこのレシピに基づいて必要な原料を調達することで、試作品を開発できる。

 特に初回の商品開発では原料や配合の検討に多くの時間を要していたが、N-Wing★のテスト運用では、従来と比べて原料検討時間は約75%、配合検討時間は約50%削減できることが確認できたという。N-Wing★の本格実装後は、試作時の手直し時間が約50%、商品開発の総時間が約50%削減する効果も期待できるとする。

 また、商品開発においては過去の配合や原料に関する知見が熟練者に属人化しており、技術伝承が課題となっていた。今回、N-Wing★に過去の実験データやレシピを集約化したことで、推奨香料や配合、過去の使用事例や原料関連情報などを誰もが効率良く検索できるようにしたという。

 N-Wing★のAIは、サッポロビールが展開した約170点の商品で検討された約1200種の配合や、約700種の原料情報を含むレシピを学習している。日本IBMによると、N-Wing★が提示したレシピの中には人間では思い浮かばないような配合も確認されるという。また同社は、「今後も新しい原料、開発情報を繰り返し学習させることで、レシピ配合の予測精度向上が期待される」(プレスリリースより)とコメントをしている。

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