大阪駅から関空まで14分!? 空飛ぶタクシーの実現を支えるバーチャルモノづくり:3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2022(1/3 ページ)
ダッソー・システムズは、年次コーポレートイベント「3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2022」を東京都内で開催。ゲスト講演において、同社のユーザーであり、空飛ぶタクシー用のeVTOL(電動垂直離着陸機)を開発する米Joby Aviationが「Technologies enabling the future urban mobility 〜未来のアーバン・モビリティの実現に向けて〜」をテーマに、eVTOL開発の取り組みを紹介した。
ダッソー・システムズは2022年10月19日、年次コーポレートイベント「3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2022」を東京都内で開催した。実会場での開催は3年ぶりとなる。イベント開催に併せて、Dassault Systemes 最高経営責任者(CEO)のベルナール・シャーレス氏が来日した他、同社のユーザーであり、エアタクシー(空飛ぶタクシー)用のeVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing/電動垂直離着陸機)を開発する米国ベンチャー企業のJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)がゲスト講演を行った。
本稿では、Joby Aviation プロダクトマネージャーのアレック・クラーク氏の講演「Technologies enabling the future urban mobility 〜未来のアーバン・モビリティの実現に向けて〜」について取り上げる。
空を飛び、ポイントからポイントへと移動できるサービスを提供
Joby Aviationは、エアタクシー用のeVTOLを開発するベンチャー企業で、2009年に米国カリフォルニア州サンタクルーズで創業した。eVTOLの開発、テスト、製造を行う他、旅客運航を視野に事業を展開しており、米国連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)から型式証明を取得した後、スマートフォンのアプリからエンドユーザーが直接フライトを予約できるサービス“Aerial Ridesharing Network(空中ライドシェアネットワーク)”の開始を予定している。現在、従業員は約1000人おり、サンタクルーズの本社の他にも、カリフォルニア州内に複数拠点、ワシントンDCやドイツのミュンヘンなどにもオフィスを構えているという。同社には、トヨタ自動車が出資している他、ANAホールディングスともパートナーシップを締結している(後述)。
冒頭、クラーク氏はVTOL(Vertical Take-Off and Landing/垂直離着陸機)について紹介。VTOLはヘリコプターのように垂直離着陸したり、飛行機のように滑走路から飛び立ったりできるのが特徴で、効率的かつ長距離の飛行を可能とする。日本でも陸上自衛隊が運用する「V-22(オスプレイ)」が有名だが、「VTOLのコンセプト自体は決して新しいものではなく、1990年代から進化を続けている機体もある」(クラーク氏)という。ただ、これらの機体の多くは、設計と運用に多大なコストがかかることから軍事目的での利用が中心となっており、限定的な活用にとどまっている。
このVTOLを取り巻く現状に対し、電動パワートレインの活用によってパラダイムシフトを起こそうとしているのがJoby Aviationだ。同社は、バッテリーやモーターなどを活用した電動パワートレインによる新たなシステムの設計を実現するとともに、安全性や信頼性を高めたeVTOLを世に送り出すことで、人の移動や輸送にポジティブなインパクトをもたらすことを目指している。
Joby Aviationが開発するeVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing/電動垂直離着陸機)について[クリックで拡大] 出所:ダッソー・システムズ/Joby Aviation
「将来的な都市人口の増加により、生活空間での混雑が増し、道路や鉄道などのインフラを整備するための空間もどんどん減っていく。また、米国民は年間で約46時間も渋滞に費やしているという調査結果もある。空を飛び、ポイントからポイントへと移動できるサービスを提供することで、これらの課題を軽減できると考えている」(クラーク氏)
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