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加湿器大手のダイニチ工業が空気清浄機に再参入、なぜ加湿機能を付けないのかイノベーションのレシピ(1/2 ページ)

ダイニチ工業が空気清浄機市場に再参入する。同社は家庭用石油ファンヒーターや加湿器の大手メーカーだが、2007年に撤退してから15年ぶりに空気清浄機の新製品を投入する。集じん力と静音性能、手入れの容易さを実現する、フィルター式と電気集じん式を組み合わせたハイブリッド式空気清浄機「CL-HB922」を2022年10月1日に発売する。

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ダイニチ工業の空気清浄機「CL-HB922」
ダイニチ工業の空気清浄機「CL-HB922」[クリックで拡大] 出所:ダイニチ工業

 ダイニチ工業は2022年9月8日、東京都内で会見を開き、空気清浄機市場に再参入することを発表した。同社は家庭用石油ファンヒーターや加湿器の大手メーカーだが、2007年に撤退してから15年ぶりに空気清浄機の新製品を投入する。集じん力と静音性能、手入れの容易さを実現する、フィルター式と電気集じん式を組み合わせたハイブリッド式空気清浄機「CL-HB922」を同年10月1日に発売する。価格はオープンだが、税込みで10万円を少し下回る価格を想定。発売から1年間で1万台の販売を目指す。

 同社 代表取締役社長の吉井唯氏は「当社は冬季に利用される石油ファンヒーターと加湿器で売上高の過半を占めており、季節要因で業績が左右されることが課題だった。通年で一定の需要がある空気清浄機市場に再び参入することで冬季需要に集中しすぎない体制に変えていきたい」と語る。

撤退から再参入を何度も検討「ついに自信のある製品を開発できた」

 ダイニチ工業は1994年に、帯電した金属板のユニットにほこりや汚れを吸着する電気集じん式の空気清浄機を発売した。しかし、HEPAフィルターが主流となった市場と適合しなかったこともあり2007年に撤退している。「ただし空気清浄機は、当社が高いシェアを持つ加湿器と技術的に共通する点が多く同じ商流を利用できることもあり、撤退からも再参入を何度か検討してその都度断念するという状況にあった。今回のCL-HB922は、ついに自信のある製品を開発できたと自負している」(吉井氏)という。

ダイニチ工業の吉井唯氏
ダイニチ工業の吉井唯氏(右から2番目)。会見では、吉井氏の前方にある空気清浄機の他、税込み価格3万円前後の家庭用コーヒー焙煎機(空気清浄機の左側)や、加湿器の「カンタン取替えフィルター」(コーヒー焙煎機の左側)も発表した[クリックで拡大]

 CL-HB922は、家電量販店の売り場などの大半を占める加湿空気清浄機ではなく、空気清浄機能に特化した単機能の空気清浄機である。同社が再参入に当たって行った空気清浄機に関するアンケートでは「稼働音がうるさい」「手入れの手間がかかる」「集じんが弱い」という課題が指摘されており、また加湿器のユーザーアンケートでも、空気清浄機のユーザーから複合機能である加湿機能と運転音についての悩みが寄せられていた。吉井氏は「2つの機能を1台に組み込むことにより、うるさくなる、メンテしづらくなる、本体が大きくなるという問題が分かってきた。後発メーカーだからこそ、これらのユーザーの悩みに応えるために、単機能の空気清浄機の開発を決めた」と強調する。

 CL-HB922の特徴は大まかに分けて「大風量でコンパクト」「カンタンお手入れ」「静かな運転音」の3つだ。1つ目の「大風量でコンパクト」は、フィルター式と電気集じん式を組み合わせたハイブリッド式の空気清浄機能により、各方式の集じん部品を小さくしつつ空気清浄能力を維持することで実現しただ。外形寸法は幅310×奥行き310×高さ540mmで、設置面積はレコードジャケットと同程度だが、毎分8.6mの風量を確保して38畳までの広さに対応している。

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